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MLBが球数制限を導入した経緯から、
藤浪晋太郎と阪神の育成力を考える。 

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生島淳

生島淳Jun Ikushima

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photograph byNanae Suzuki

posted2013/04/28 08:01

MLBが球数制限を導入した経緯から、藤浪晋太郎と阪神の育成力を考える。<Number Web> photograph by Nanae Suzuki

神宮球場のブルペンで投球練習を繰り返す藤浪。毎試合150キロを超える速球を投げている藤浪だが、果たしてシーズンを通して怪我無く活躍できるのか……。

投球回数が前年比120%を超えると3年目に故障発生!?

 トム・ベルドゥッチという花形記者が、20代前半の若手先発投手が、投球回数が前年比120%以上を超えた場合、その翌シーズンに故障、または成績が急落することを指摘した。たとえば150回を投げた投手が、翌年180回を超えたとすると、3年目に「リスク」が高まるというデータである。

 実はライトもこのパターンに当てはまっていた。

1997年 90回3分の1
1998年 192回3分の2
1999年 133回3分の2
2000年 51回3分の2
2001年 29回
2002年 18回3分の1

 1998年は前年比、200%を超えてしまっていたのだ。そして1999年に調子を落とし、それ以降は故障で満足な働きが出来ず、インディアンスを離れる。

 それでも2004年にブレーブスで15勝、2006年にヤンキースで11勝をあげたのが、せめてもの救いだった。

 しかし、2007年のオリオールズを最後に、31歳でユニフォームを脱いだ。

 先発は使い捨てではなく、球団にとっては大切な財産だから、しっかりと長期プランで育てていこうという流れになったのは、ライトのような有望な選手が満足な働きが出来なかったからなのだ。

外野の声に左右されがちな阪神にブレない育成は可能か。

 こうした情報は、日本の球界にも浸透している。

 問題は、それぞれの球団が組織として日本用にどうアレンジして使うか、そうしたビジョンを持っているかどうかにかかっている。

 阪神に全幅の信頼を置くことが出来ないのは、藤浪が一度、4月7日に中継ぎで登板させられていることだ。

 この時は前日の試合が雨で流れ、岩田がスライド先発することになり、阪神としては週に一度、藤浪を登板させるべく中継ぎに回したのだろうが、先発と中継ぎでは「職種」がまったく違う。藤浪は先発で大きく育てたいに決まっているのだから、こうした中途半端な起用法こそ、百害あって一利なし、だろう。

 いずれにせよ、阪神が藤浪をどうやって育てていくかは、数年間の観察が必要になる。来年、藤浪の投球イニングが大幅に増えるようなことになったら、「黄信号」かもしれない……。

 阪神の場合、マスコミがムードを作るから、ブレないで育成するのは難しいという側面もある。

 阪神の育成力は、この逸材をどう扱うかによって明らかになるだろう。

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