詳説日本野球研究BACK NUMBER
フレッシュオールスターを徹底検証。
あの甲子園のスターは成長したか?
text by
小関順二Junji Koseki
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2010/07/28 10:30
7回表に左翼スタンドに特大の本塁打を放ち、今宮健太とハイタッチをする堂林翔太(左)
全国高校野球選手権をめざす地方大会が行われている最中、長崎ビッグNスタジアム(長崎県営野球場)で行われた二軍のオールスター、フレッシュオールスターゲームを見た。今年の特徴は甲子園大会を沸かせた高校卒新人が多く出場していることで、投手では今村猛(清峰高→広島)、秋山拓巳(西条高→阪神)、野手では筒香嘉智(三塁手・横浜高→横浜)、今宮健太(遊撃手・明豊高→ソフトバンク)、堂林翔太(三塁手・中京大中京高→広島)、計5人のプレーに注目した。
前田健太を彷彿とさせる今村、川崎宗則の後継者は今宮。
今村は先発して2回を投げ、細谷圭(ロッテ)の本塁打による1失点、秋山は4番手として1回を無安打、無失点に抑え、甲子園のスターはさすが大舞台に強いと納得させられた。とくに注目したのは今村で、軽く腕を振っても打者の手元でよく伸びるストレートの威力や変化球のキレのよさは、チームの先輩、前田健太を彷彿とさせ頼もしかった。
野手3人の中では筒香だけがノーヒットで悔しい思いをしたが、試合前のフリーバッティングのときから重心を後ろに残す、一発狙いのパワーバッティングに取り組んでいたので、この結果は順当と言えなくもない。個人的には高校時代のような、動きが小さく反動を使わないバッティングで長打を連発する姿をもう一度見てみたいが、長打がほしいチーム事情が今のようなバッティングをさせているのだとしたら残念である。
今宮は数年先のレギュラーショートが期待されるソフトバンク期待の星と言っていい。川崎宗則のメジャー移籍が秒読み状態に入り、次代への備えは急務。そんなチーム事情が、ファームの遊撃手としてフル出場する姿によく表われている。
高校時代は中島裕之(西武)を思わせる大きい打撃フォームからのフルスイングに特徴があったが、現在はそういうカドを取りながら依然として打者としてのスケールを残している。確実性が求められる1番打者としては異色だが、今宮は枠にはめないほうが力を発揮する自由人タイプ。ソフトバンクのファーム指導者は逸材の心の内をよく理解していると思った。