日本代表、2014年ブラジルへBACK NUMBER
オランダでゴール量産中――。
ハーフナー・マイク、進化の予感。
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byTakuya Sugiyama
posted2013/04/16 10:30
日本代表では11試合4得点。途中出場の機会が多く、最終予選ではまだゴールを奪えていない。
「遼一さんはやっぱりうまい。勉強になりますよ」
フィテッセではボニーの「剛」の部分を、代表では前田の「柔」の部分を目に焼きつけようとしてきた。
「遼一さんはやっぱりうまい。見ていてすごく勉強になりますよ」
ベンチから前田の動きを見続けた。出番が減っても腐ることなく、成長するためのヒントを探そうとしていた。壁にぶつかったときに何をするか。そこにマイクは心を向けようとした。
3月26日、W最終予選ヨルダン戦では悔しい思いをした。
途中出場を果たしたものの、流れを変えるまでには至らなかった。
本田圭佑や、まだ未招集の豊田陽平たちを推す声があるのも、マイクが期待に十分に応えられているとは言えないからだろう。ただ彼がオランダの地で確実にレベルアップしているのは間違いない。フィテッセで優勝争いに身を置くことも、きっとプラスに働いてくるはずである。追い込まれたときほど力を発揮してきただけに、マイクの真骨頂はこれからだと感じている。
「君が代をピッチで聞くと、もう全身に鳥肌が立つ感じなんですよ」
努力して、苦手を克服しての進化。
真面目と評される日本人のひとつの特徴とも言えるが、オランダ出身の両親を持つマイクは日本で生まれ育ち、誰よりもそういった日本人らしい一面を持つ。そして、代表に対する誇りは、かなり熱いものがある。
「君が代をピッチで聞くと、もう全身に鳥肌が立つ感じなんですよ。あの感激は忘れられないと思う」
1年半前のタジキスタン戦で代表初先発を果たした後、興奮気味にそう話していた。
オランダの地は海岸の砂浜を黙々と走った努力の原点でもある。
努力なくして、進化なし――。
高みを目指そうとするハーフナー・マイクの姿勢は今も昔も、何ひとつ変わっていない。フィテッセでのゴール量産が、それを証明している。