日本代表、2014年ブラジルへBACK NUMBER
オランダでゴール量産中――。
ハーフナー・マイク、進化の予感。
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byTakuya Sugiyama
posted2013/04/16 10:30
日本代表では11試合4得点。途中出場の機会が多く、最終予選ではまだゴールを奪えていない。
ハーフナー・マイクの調子がすこぶるいい。
ヴァンフォーレ甲府からオランダのフィテッセに移籍して2シーズン目。4月13日のローダ戦で2ゴールを挙げ、これで今季9得点目をマークしている。
圧巻の2ゴールだった。1点目は得意のヘディング。右サイドからのクロスにタイミング良く飛び込み、自らの尻がマークする相手の顔に到達するほどの跳躍力からゴール右に叩き込んだ。2点目は利き足ではない右足。味方からのパスを頭でエースストライカー、コートジボワール代表のボニーにつなげると、そのまま前線に向かって相手DF2人の間でリターンの浮き球パスを胸トラップで受け取り、落ち着いて流し込んだ。
1点目が「剛」とすれば2点目は「柔」。ストライカーとして“幅”を広げているという印象を受けた。3月に入って6試合5ゴールと、シーズン終盤に来て量産態勢に入っている。このままの勢いなら残り4試合で2ケタ得点をクリアするのは十分に可能だろう。
マイクは力強くなった。
そうはっきりと実感を持てたのは、3月22日に行なわれた親善試合、日本代表vs.カナダ戦だった。
カナダ戦で見せた、“1トップらしい力強さ”。
仮想ヨルダンの実力は決して低いものではなく、本田圭佑を欠くチームは前線でボールをしっかりと収められないでいた。
この状況を変えたのが、後半開始から投入されたマイクだった。味方からのフィードに対してことごとく競り勝ち、ボールを味方につなげていく。「俺にボールをよこせ」とばかりに手ぶりで味方に要求するのは、自信がなければできないこと。マイクは相手の最終ラインを押し込み、その分、空いたスペースを香川ら味方に使わせようとした。日本の攻撃に流れを生みだしたと言ってよかった。
後半開始から立て続けに訪れた決定機をモノにできなかったのは反省材料とはいえ、このような1トップらしい力強さのほうに筆者は目を奪われた。後半29分には、ゴール前のこぼれ球を左足で押し込んでチームの2点目を挙げる執念も見せている。成長をいい形でアピールできた試合になったのではないだろうか。