欧州CL通信BACK NUMBER
「メッシ依存」は過去最高レベルに。
辛くもCL4強を決めたバルサの不安。
text by
工藤拓Taku Kudo
photograph byAP/AFLO
posted2013/04/11 13:15
試合後、元チームメイトのイブラヒモビッチとガッチリ握手を交わしたメッシ。第1レグ、第2レグともに引き分け、お互いの健闘を称えあった。
過去にないほどに進む「メッシ依存」。
そこまでして指揮官がメッシをピッチに残した理由、それは試合後の選手達のコメントに表れていた。
ビジャは「メッシはピッチに立つだけで試合を変えてしまった」、ペドロは「チームは彼の登場と共に勢いづいた」、ピケは「世界最高の選手を擁するのなら何が何でも起用しなければいけない。故障を抱えていたというのに、ピッチにいるだけでチームメートの士気を高めてくれたんだからね」とその存在が与えた影響を語っている。
命からがらに1点を守りきったこの試合で、バルサは何年も前から議論されてきた「メッシ依存」が過去にないほど進んでいることを露呈した。それは各ポジションにトップクラスの選手を揃えたバルサにとって、必ずしも良い傾向ではない。
ADVERTISEMENT
一方で、この日のメッシはバルサの攻撃の中心としてだけでなく、選手や監督、ファンに勇気と希望を与える精神的支柱としての役割も担っていた。それはピッチ外では無口で人見知り、ピッチでは時に独りよがりなプレーに走りがちだった彼に、真のリーダーとしての自覚が芽生えはじめた兆しと言えるかもしれない。
いずれにせよ、今季バルサが史上5度目のビッグイヤーを掲げられるかどうかが彼の両足にかかっていることは確かだ。