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2大会連続でW杯行きゴールを決める!?
ヨルダン戦、岡崎慎司を見るべき理由。 

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ミムラユウスケ

ミムラユウスケYusuke Mimura

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photograph byTakuya Sugiyama

posted2013/03/26 10:32

2大会連続でW杯行きゴールを決める!?ヨルダン戦、岡崎慎司を見るべき理由。<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

カナダ戦、右サイドMFとして先発出場した岡崎。前半9分には、相手GKのクリアボールを拾うと冷静に相手DFをかわし、GKの頭を越えるループシュートを決めた。

浮き沈みの多いシーズンを過ごしている今季の岡崎。

 今シーズン序盤、岡崎は自分の代わりにほかの選手がスタメンで起用される日々に直面して苦しんでいた。そして、いつからか苛立ちを募らせるようになり、その矛先は“外”に向いた。一時は、練習でも周りの選手を削るくらい激しいプレーをしていた。

 しかし、そんな最中、9月26日のホッフェンハイム戦で左足親指を骨折してしまった。怪我のために戦列を離れているなか、岡崎は自らの考えがいかに恥ずかしいものだったかに気づき、考えを改めた。俺は、なんて馬鹿なことを考えていたんだ、と。この怪我も起こるべくして起きた、罰(ばち)のようなものなんだ、と。

 怪我の功名といっても過言ではない。この時期に考えを改めたことは、飛躍につながった。

 2カ月あまりのブランクを経て怪我から復帰すると、昨年11月14日のW杯予選オマーン戦で決勝ゴールを決めたのをきっかけに、11月22日、ヨーロッパリーグのステアウア・ブカレスト(ルーマニア)戦で、ドイツに渡ってから初めてとなる1試合2ゴールを記録。さらには12月1日、降格圏に沈むフュルトとの試合でも決勝ゴールをマークするなど、大きく調子を上げた。周囲の能力を引き出したうえで、自分も結果を残すという好循環を手にしたのだ。

 だが、2013年が明け、今シーズンの後半戦に入ってから再びスランプに見舞われる。たびたびスタメンから外されたことによって、今度は意識が“内”に向いてしまった。自信は失われ、迷いを抱えながらプレーするようになった。その結果、ボールを簡単に失うシーンが続出。2月27日のドイツ杯、2部所属のボーフムとの試合では、前半を終えた時点で交代を命じられるなど、屈辱を味わった。

チームメイトに言及するコトバには、熱がこもり自信がにじみ出る。

 しかし、3月に入ってからは、考えを改め直し、苦悩の時期から抜け出そうとしている。3月14日に出したコラム「必要なのはゴールか、バランスか!? 迷走脱した岡崎慎司の大きな前進」でも紹介したが、3月になってから岡崎は、「チーム(シュツットガルト)に最も欠けているのはバランスだと思う。勝つためにはそこを自分が補ったうえで、得点を狙うというのが今やるべきこと」と語っている。

 どのようにプレーしていけばいいのかについて、1シーズンにおいて2度も悩みを抱えてしまうという苦い経験をしたからこそ、今は信じられるのだ。チームメイトたちの能力を引き出せるように全力を注ごう、と。それはきっと自分にも跳ね返ってくれるのではないか、と。実際、岡崎がチームメイトについて言及するコトバには、熱がこもり、自信がにじみ出ているのだ。

 昨年11月のオマーン戦、2月のラトビア戦、そして先日のカナダ戦と、代表では3試合連続ゴール中の岡崎だが、ブンデスでの戦いぶりとコメントを追うと、実は誰よりもチームメイトのことを考えているのがわかってくる。つまり、岡崎はゴールを決めた上で、周囲も活かせるという、最高の状態にあるのだ。

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