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なでしこ、アルガルベ杯5位で終幕。
中国戦で見えた「ボランチ」という課題。
text by
河崎三行Sangyo Kawasaki
photograph byGetty Images
posted2013/03/14 12:25
アルガルベカップの最終戦に臨んだ、なでしこの先発メンバー。後列左から、宇津木瑠美、長船加奈、大滝麻未、熊谷紗希(キャプテン)、山根恵里奈、大儀見優季。前列左から、中島依美、加戸由佳、川村真理、山崎円美、有吉佐織。
交代を繰り返すも、最後までボランチは機能しなかった。
キックオフ時、日本のボランチは宇津木瑠美と山崎円美のコンビ。
山崎は本来、所属するアルビレックス新潟レディースでサイドアタッカーを務めることが多い選手で、自分のタスクを理解することに汲々としている様子。一方、宇津木は本職であり、プレーそのものは落ち着いていたのだが、FWへのくさびのボールがなかなか出せず、攻撃が手詰まりになってしまっていた。
すると佐々木監督は後半、ボランチの組み合わせを宇津木―大儀見優季に変更。さらにセンターバックの長船加奈が負傷退場するや、中盤中央を大儀見と田中明日菜のコンビに変更した。
正直なところ、いずれの組み合わせもボランチとして十分に機能したとは言い難い。
日本は日本でボールが落ち着かず、結局両チームの中盤の間で終始ガチャガチャとボールが往復しあう展開になってしまった。大儀見が後半23分に挙げた決勝ゴールもFKからのこぼれ球で、パスを回して相手を動かし、綻びを突くというなでしこらしい得点パターンではない。
澤や阪口に匹敵する新しい選手が必要なのだが……。
もちろん本職ではない選手や急造コンビというハンディがあったわけだから、佐々木監督体制になってから長くボランチを務めてきた澤穂希、阪口夢穂の組み合わせのようにいかないのは当然だ。
しかし、ボランチというポジションは佐々木サッカーの生命線。そして今回のアルガルベ杯で阪口が負傷のため参加を辞退したように、今後も不測の事態がいつ何時起こるやもしれない。
将来に向けチームの底上げを図るには、いつ出番が回ってきても澤や阪口に匹敵する働きができる選手が必要なのだ。
特に宇津木や田中明は、佐々木監督の下でそれなりにボランチ経験を積んできたわけだから、もっと強引なまでに試合をコントロールしてよかったのではないか。両者とも、それができるポテンシャルを持っていることはすでに証明しているだけに、少々残念だった。