ナダル、ジョコビッチに次ぐリターンゲーム奪取率。

　ツアー2勝目となった昨年の楽天ジャパンオープンでも、リターンでビッグサーバーのベルディハやミロシュ・ラオニッチ（カナダ）を制圧した。相手サーブのコースや球種を読みきって、高速スウィングでラケットを一閃。素早い反応で相手のファーストサーブにも食い下がり、互角の打ち合いに持ち込む。確かに錦織のリターンは一級品である。

　昨年の統計で、錦織のリターンゲームの奪取率（言い換えればサービスブレーク成功率）は31％で、ラファエル・ナダル（スペイン）、ノバク・ジョコビッチ（セルビア）らに次いでツアー全体の5位につけている。数字の上では、力強いリターンゲームを見せるアンディ・マリー（英国）をもわずかに上回っている。

　錦織自身、この優勝で自分の目指すスタイルに確信を深めたに違いない。リターンの名手のイメージは、さらに強固なものになったはずだ。今後、錦織と対戦する選手は、少しでも甘くなったらやられる、と重圧下でのサービスゲームを強いられるだろう。以前、アガシと対戦する選手がそうであったように。