フィギュアスケート、氷上の華BACK NUMBER
日本女子、10年ぶりの表彰台独占。
フィギュア四大陸の奮闘を追った!
text by
田村明子Akiko Tamura
photograph byAP/AFLO
posted2013/02/12 11:30
フリーの演技の後、得点表示を見て笑顔を弾けさせた浅田。SPでは自身の代名詞ともいえる3アクセルも見事に決め、約1カ月後に迫った世界選手権優勝を射程に捉えた。
「自分でもまだ信じられない気持ち」(高橋)
「練習でもこれほど悪いということはない。自分でもまだ信じられない気持ち。全日本の後に、気が緩んでいたのかもしれないです」と、演技後に戸惑いを隠しきれないままにコメントした。SPを以前のロックンロールから、ベートーベンの「月光」に変えたものの、そのための時間のロスなどは関係ない、と断言した。
長光歌子コーチは、「全日本選手権の後に、少し休ませなくてはと思って休ませた。いったん緩んでしまって、試合に向けて調整しきれなかったのだと思う」とコメント。
高橋ほどの選手でも、調子が悪ければ世界トップの半分しか出ていない四大陸選手権で7位になってしまうというこの過酷な現実に、改めてこのスポーツの恐ろしさを感じた。
本物の勝負はカナダの世界選手権で!
一方羽生は、SPではコンビネーション、フリーでは4回転サルコウなどを失敗して、2位に終わった。だがコーチのブライアン・オーサーは、「ピークを迎えなくてはならないのはこの大会ではなく、1カ月先の世界選手権。ここでSP、フリーともにノーミスに滑っていたら、かえって心配していただろう」とコメントした。
オーサーの言う通り、本当の勝負は3月にカナダ、オンタリオ州のロンドンで行われる世界選手権、そして1年後にソチで行われる五輪である。その意味では、高橋、羽生ともにここで一度悔しさを味わうことが、きっと次へのモチベーションへとつながっていくに違いない。