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「英国フットボール記者協会」
元会長が語る日本人成功の鍵。
~『プレミアリーグの戦術と戦略』~
text by
Number編集部Sports Graphic Number
photograph bySports Graphic Number
posted2013/01/30 06:00
『プレミアリーグの戦術と戦略 日本人選手活躍の条件』 アレックス・モンゴメリー著 鈴木英寿訳 ベスト新書 800円+税
歴代のイングランド代表監督とも親交の厚い英国記者界の重鎮アレックス・モンゴメリーが記した『プレミアリーグの戦術と戦略』は、日本限定の書き下ろしだ。なぜ、あえて日本人に向けて本書を執筆しようと思ったのだろうか。
「私は1980年代に、日本人の語学留学生の面倒をホームステイで見ていた経験もあって、日本はずっと親近感がある国だった。同時期にトヨタカップで何度か来日したこともあるし、ガリー・リネカーが名古屋グランパスに入団した際もJリーグを取材したよ。あと、この本でも書いたが、アーセン・べンゲル(現アーセナル監督)が'80年代後半から'90年代前半にかけてモナコの監督をやっていた頃から、彼のことは知っていた。ただ、まさかべンゲルが日本に行くとは思わなかったが。今回、出版社サイドから『プレミアリーグを日本のファンに正しく伝える本を作りたい』とのリクエストを受けて、即決でオーケーを出したのも、それが日本の出版社だったからだ」
――この本の帯には、香川真司(マンチェスター・ユナイテッド)、吉田麻也(サウサンプトン)は成功する、と書かれていました。後半戦を迎えてもご意見は変わりませんか。
「全く変わらない。この2人に関しては、これからが本当に楽しみだ。特に香川は気になる存在だね。この前、アップトン・パークで行なわれたウェストハム戦(FAカップ)が特に印象的だったな」
――どういった部分が印象的でしたか?
「香川は去年の12月末に復帰するまで、2カ月以上怪我で離脱していた。果たしてどんなプレーを見せるのだろうか、と思っていたが、期待以上にフィジカルが強くなっていたね。おそらく相当鍛えたんじゃないかな。プレミアで成功するためには、どのポジションでもフィジカルの強さが要求される。彼はすでに今季序盤戦でスピード面、身体的な敏捷性の面で素晴らしい才能を証明していた。怪我をしていた期間はメンタル的にも厳しかっただろうが、より頼もしい選手に映ったよ。本当にこれからが楽しみだ」