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ラツィオ、13年ぶりの2冠なるか?
“地味メン”が打倒ユーベに名乗り。
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byAFLO
posted2013/01/24 10:30
クローゼ(一番左)のゴールを祝う司令塔・エルナネス(左から2番目)らチームメイト。
低年俸に甘んじる監督自身も下克上の野心を燃やす。
だが、指揮官はそんな苦しい台所事情も先刻承知の上だ。
そもそもペトコビッチの年俸(約60万ユーロ)自体、20人いる同業者中13位にしかならない割安値だ。チームに躍進をもたらしたペトコビッチは、もはや無名とはいえなくなりつつあり、今季終了後には、レアル・マドリーへの転身が有力視されているクロップの後釜として、ドルトムントの次期監督候補にも名が挙がる。
「勝負のときがきたら、私は逃げも隠れもしない」と碧眼を光らせる。ペトコビッチもまた野心を秘め、下克上を企てる男なのだ。
王者へ挑戦状を叩きつけた無名の男たち。13年前と同じくするのは、21節を終えて43を数える勝ち点ペースと打倒ユーベを目指す心意気だ。かつての豪華チームが持っていた豪快さは失せたが、代わりに堅実で繊細な前線でのプレーとそれを支える運動量がある。
まだ残っている29日の1試合を含めたコッパ・イタリア準決勝の2戦(初戦は1-1の引き分け)が、現在のラツィオがタイトルに値するかどうかの試金石となる。