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高校サッカー頂点は鵬翔か京都橘か?
順延後、2つの選択に隠された意図。
text by
茂野聡士Satoshi Shigeno
photograph byNIKKAN SPORTS/AFLO
posted2013/01/17 10:30
準決勝の星稜戦で直接FKを決めた鵬翔・MF小原裕哉(左)と、準決勝終了時点で5得点と得点王争いのトップを走る京都橘・FW小屋松知哉。
鵬翔が、メディアの少ない地元に一旦帰った理由。
一方で鵬翔が宮崎に帰ったのは、普段の生活を送ることで選手に過緊張させない環境を求めただけではない。
最大の得点源となっているセットプレーの再構築と、宮崎県大会決勝、そして今大会に入っても5試合中3試合で勝利したPK戦まで見据えた戦略をじっくりと組み立てるために、関東に比べて集結するメディアが少ない地元を選んだ部分もあるだろう。
今大会で鵬翔が挙げた全得点は8。そのうち5点、それも準々決勝、準決勝のすべてのゴールがセットプレー絡みである。こちらも中心選手であるスピードスター、MF中濱健太が宮崎県予選でひざを負傷してしまい、スタメン出場が叶わない中でも勝ち上がった最大の要因だ。
高さはさほどなくても、ターゲットとキッカーが揃う鵬翔。
準決勝・星稜(石川)戦では先制を許したものの、前半30分にMF小原裕哉が低く鋭い軌道で直接FKを叩き込む。再びリードを許した直後の後半38分には、右サイドのハーフライン上からのFKで放り込まれたボールを落とすと、MF東聖二がいち早く反応して同点弾を叩き込んだ。準々決勝・立正大淞南戦(島根)では、前半30分にFKのロングボールをDF原田駿哉がヘッドで競り勝って先制ゴールを奪うと、前半36分にはCKのこぼれ球を柏田崇走、後半13分にはFKから芳川隼登が決めて3点を奪った。
主力として出場する選手の中で、身長が180cmを超えるのは原田とFW澤中拓也のみだが、跳躍力のある芳川(178cm)もいるためターゲットは多い。また、鋭く曲がるカーブでピンポイントを狙う小原、そして左利きのDF日高献盛とキッカーもそろっているため、相手としては非常に的が絞りづらい。小屋松と仙頭の2トップを擁する京都橘に比べた際、個の力で得点を奪うチームではないだけに、情報が伝わりづらい宮崎での最終調整を選んだのも当然と言える。
大雪による順延を味方につけることができるのはどちらか?
セットプレーに冴えを見せる鵬翔に対して、京都橘はスタメンが予想されるメンバーの中で、身長が180cmを超えるのはGK永井建成(183cm)だけ。桐光学園戦でも途中出場した190cmのFW文字大樹が高さ対策として投入される場面が早まる可能性もある。
看板の2トップに回復する期間が与えられた京都橘か、大会中にセットプレーに磨きをかけた鵬翔か。想定外の大雪となったが、2校は戦略的な仕切り直しを経て、19日12時5分、聖地・国立でのキックオフの笛を待つ。