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高校サッカー頂点は鵬翔か京都橘か?
順延後、2つの選択に隠された意図。 

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茂野聡士

茂野聡士Satoshi Shigeno

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photograph byNIKKAN SPORTS/AFLO

posted2013/01/17 10:30

高校サッカー頂点は鵬翔か京都橘か?順延後、2つの選択に隠された意図。<Number Web> photograph by NIKKAN SPORTS/AFLO

準決勝の星稜戦で直接FKを決めた鵬翔・MF小原裕哉(左)と、準決勝終了時点で5得点と得点王争いのトップを走る京都橘・FW小屋松知哉。

「ええっ! 国立まで来たのに、中止になっちゃうの!」

 1月14日「成人の日」、東京・国立競技場の千駄ヶ谷門では、先着3000人の無料招待を目指して朝早くから集まった多くの小学生や、高校サッカーファンから嘆息が漏れた。

 この日は朝から雪が降り続け、首都圏は7年ぶりの大雪。主催者側の想定を超えた悪天候によって、全国高校サッカー選手権決勝・鵬翔(宮崎)vs.京都橘(京都)の一戦は、19日に順延されることになった。過去には第67回大会の開催期間中、昭和天皇の崩御によって準決勝と決勝の日程が順延されたことがあったが、悪天候による順延は、首都圏開催となって以降は初のこととなった。

 異例の事態からの仕切り直しとなる決勝戦。一番の大きなポイントは、当然ながら試合間隔の変化だ。当初は12日の準決勝から中1日で行われるはずのところが、丸1週間も試合間隔が空くこととなった。その“プラス4日”を与えられた2校のとった調整方法は対照的だ。京都橘は関東圏内に滞在するミニ合宿を行い、逆に鵬翔は地元・宮崎に戻って、学校生活を送りながら練習することとなった。

 5日の準々決勝から準決勝までの1週間のインターバルでも、京都橘は地元に帰らずにミニ合宿、鵬翔は地元・宮崎に戻るという対応をとった。予期せぬ順延という2度目のインターバルを受けた両校の“選択”にどんな意図があるのか、検証してみたい。

京都橘の手負いの2トップ、怪我からの回復は間にあうのか。

 まずは地元に戻らない選択をした京都橘。選手たちの集中を切らせないという狙いだけではなく、それ以上に今大会で計9得点を挙げている2トップ、小屋松知哉(5ゴール)と仙頭啓矢(4ゴール)のケガの状況を踏まえてか、東京-京都間の往復移動でかかる負荷を軽減した点は見逃せない。

 準決勝前に書いた原稿でも取り上げた小屋松だが、今大会は満身創痍の状態で戦っていた。1回戦・正智深谷(埼玉)戦では1ゴール1アシストをマークしたものの、左足ふくらはぎを負傷。他にも右ひざや腰にも痛みを抱えていて、万全の状態とは言えない。

 また、小屋松にラストパスを配球するだけでなく、得点能力にも優れる仙頭も左ひざに不安を抱えている。1週間で完治するかは微妙とはいえ、試合間隔が空いたことは決してマイナスではない。

 チーム全体としては準決勝の桐光学園(神奈川)戦で見せたような、素早い攻守の切り替えと鋭いカウンターを軸に戦うことが予想される。J2京都でプレーする宮吉拓実を兄に持つMF宮吉悠太ら、2トップを支える選手たちにも多くの運動量が求められるため、コンディションとしては当初の14日に行うよりも上向きで臨めるはずだ。

【次ページ】 鵬翔が、メディアの少ない地元に一旦帰った理由。

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