プレミアリーグの時間BACK NUMBER
アーセナル8季連続の無冠濃厚……。
それでもベンゲル退任が無い理由。
text by
山中忍Shinobu Yamanaka
photograph byGetty Images
posted2013/01/14 08:01
年明け1月1日アウェイでのサウサンプトン戦に臨むベンゲル監督。この試合に引き分け、12月からの4連勝がストップした。
監督辞任のタイミングには「優勝」の2文字が必要だ。
もしも、目に見えるタイトルの不在を理由に監督交代をみた場合、後任は、まず実現不可能なノルマを背負う。
求められる「ベンゲル以上」とは、毎年、移籍市場で利益を生んで黒字経営に貢献し、魅力的なサッカーでプレミア4位以内とCLグループステージ突破という結果を保証し、その上で、主要タイトルを獲得するということなのだから。
もちろん、ベンゲル体制にも終焉は訪れる。しかし63歳の名将は、まだ4、5年は続投可能な体力と資格を備えている。そして、その数年間で是非タイトルを獲得してもらいたい。
イングランド史上、最も偉大な監督の1人にビル・シャンクリーがいる。
「リバプールの父」ことシャンクリーは、'60年代後半から6年間無冠を続けた後、2年間で3タイトルを獲得して身を引いた。プレミア時代の「アーセナルの父」と呼ばれるべきベンゲルにも、再び「優勝」の二文字で飾られ、再び世間で絶賛されながらの勇退こそが相応しい。