リーガ・エスパニョーラ最前線BACK NUMBER
リーガ最下位低迷の裏側に潜む、
デポルと敏腕代理人の怪しい関係。
text by
横井伸幸Nobuyuki Yokoi
photograph byUNIPHOTO PRESS
posted2013/01/09 10:31
リスボン生まれの代理人メンデスは、モウリーニョやC・ロナウドの他にも、ディマリア、ぺぺ、コエントランなどレアルの主力級のマネジメントを一手に引き受けている。
オルトラ監督はメンデス頼りの補強に不満を抱いていた。
問題は、今季のそのメンデス頼りの補強にオルトラが満足していなかったことだ。
「デポルティーボのこの夏の補強方針には欠陥があった。なにもかもメンデス氏に委ね、実力のない選手を獲ってしまった」
12月上旬、オルトラの代理人を務める会社が発したコメントである。
現場に立つ監督が出す要望と、チーム強化に関する会長の姿勢の間にギャップがあっては強いチームは作れない。さらに、クビを通告されたオルトラは胸に残るわだかまりを次のように語った。
「知り合いではないけれどメンデスには敬意を抱いている。素晴らしいプロフェッショナルだし、デポルティーボを助けてくれる人物だと会長に言われた。だが、いまは言うべき時ではないから黙っているが、わたしにはわたしの意見がある。いずれにせよ、このクラブで決定権を持っているのはレンドイロなんだと感じたよ」
メンデス個人に対する恨みはないにせよ、特定の代理人と懇意にし過ぎることへの抵抗をオルトラは感じていたようだ。
さらに深まりつつあるデポルティーボのメンデス依存。
昨季のマドリーで起きたメンデス絡みの“事件”――メンデスが連れてきたBチームのサブ選手をモウリーニョがCLで起用した一件――が頭にあったのかもしれない。またデポルティーボのファンも、日本のエイプリルフールに当たる12月28日(オルトラの解任が発表される前)、「ポルトガルで監督ライセンスを取得しているメンデスがデポルティーボの監督に就任」というウソをインターネットで発信し、現状をシニカルに笑っている。
だが、それでもデポルティーボのメンデス依存は止まらない。新年早々アトレティコからローンで獲得したシルビオも、続いてブラジルのサンパウロからタダで譲り受けたパウロ・アスンソンも、やはりメンデスと関わりを持つ選手である。
ただ、何より結果が重視されるこの世界、パシエンシアがチームを立て直し、1部残留という任務を全うしたら、メンデスのデポルティーボは正当化されるだろう。パシエンシアは2年前ポルトガルのブラガをEL決勝戦に導いた監督。腕はある。
「わたしがこれまで率いてきたチームにはいろんな国の選手がいたし、逆に一国の選手だけのときもあった。今度はスペインのチームにポルトガル人がたくさんいるわけだが、勝っている間は何の問題も起きないだろう」
そう、勝ち続ければいいのだ。