リーガ・エスパニョーラ最前線BACK NUMBER
リーガ最下位低迷の裏側に潜む、
デポルと敏腕代理人の怪しい関係。
text by
横井伸幸Nobuyuki Yokoi
photograph byUNIPHOTO PRESS
posted2013/01/09 10:31
リスボン生まれの代理人メンデスは、モウリーニョやC・ロナウドの他にも、ディマリア、ぺぺ、コエントランなどレアルの主力級のマネジメントを一手に引き受けている。
12月20日に行なわれた昨年最後の試合、第17節エスパニョール戦でデポルティーボは敗れ、最下位での年越しが決まった。
オルトラ監督の続投を諦めたレンドイロ会長は翌日から後任探しを始め、12月30日、オルトラとの契約破棄とポルトガル人ドミンゴス・パシエンシアの今季末までの監督就任を発表した。
別段不思議はない解任劇だ。
オルトラは昨季2部に落ちたデポルティーボの陣頭に立ち、1シーズンの獲得ポイント新記録というおまけ付きで1部復帰を成し遂げた功労者。しかし17戦で2勝しかできず、12ポイントしか得られなかったのではクビになっても仕方がない。
ところが、当のオルトラには不満が残った。
「窮地に立たされているとは思っていなかったので驚いた。これまでやってきたことを信じていたし、選手たちの支持も感じていたので、解任されるなんて想像もしていなかった」
おまけに、オルトラにとっては後任の人選もすっきりしないものだった。
パシエンシア自身に文句があるわけではない。彼を選び、デポルティーボとの間に立って事を運んだのがジョルジュ・メンデスだったからである。
腕利き代理人メンデスはレンドイロ会長と昵懇の間柄。
モウリーニョやクリスティアーノ・ロナウドといったポルトガル出身のスターを一手に引き受ける代理人メンデスは近年リーガで幅を利かせ、複数のクラブと密な関係を築いているが、中でもレンドイロ会長とは特別な間柄にある。
ポルトガル北部のカミーニャで貸ビデオ屋やディスコを経営していたメンデスが16年前、初めて選手を売り込んだ先がデポルティーボであり、レンドイロ会長は最初の交渉相手であると同時に業界のしきたり等を教わった「助言者」でもあるからだ。
レンドイロもまたメンデスを信頼し、以来実務とプライベートの両面で付き合いを深めてきた。その流れで降格の憂き目にあった昨季は直接的な助けを求め、ブルーノ・ガマとサロモンを、予算の少ないデポルティーボに都合の良い条件で連れてこさせた。
今季開幕前には「(1部復帰が決まった)デポルティーボの変身に、メンデスは非常に重要な役割を果たすだろう」と語った後、彼を介して6人もの新戦力を獲得した。