フィギュアスケート、氷上の華BACK NUMBER
世界一過酷な国内選手権を越え……。
注目続く日本フィギュア陣の後半戦。
text by
田村明子Akiko Tamura
photograph byTakuya Sugiyama
posted2012/12/30 08:02
羽生と高橋の全日本での対決は、日本フィギュア史に残る屈指の名勝負となった。世界の頂点を競うレベルの選手が同時期に国内に2人もいるというのは、まさに奇跡。
さらなる高みを見つめる浅田真央。
女子は、浅田真央がSP2位から逆転して、6回目の優勝を決めた。フリー「白鳥の湖」ではフリップにミスが出たものの、GPファイナルでは2回転になった3サルコウはきれいに成功させた。今シーズンはリスクの高い3アクセルを封印し、GPシリーズからずっと安定した演技で連勝を続けてきた。何よりの収穫は、全体のバランスが取れたプログラム構成で、5コンポーネンツの評価が再び上がってきたこと。それでも、本人は満足しきってはいない。
「自分は3回転+3回転やトリプルアクセルをやっていた時期があり、それを成功させてようやく喜びを得られると思うので、今は(演技に)納得した感じはありません」
そう厳しい自己評価をしたのは、ストイックな彼女らしい。
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GPシリーズを休んでいた世界女王のカロリナ・コストナーは、全日本と同じ週末、イタリア国内選手権で復帰。ISU公認ではないとはいえ213.69という、高いスコアで優勝した。またすでに報道されているように、キム・ヨナも約1年半ぶりに競技に復帰し、シーズン後半の大会に出てくることが予想されている。
村上が意地を見せ、鈴木はソチ五輪まで現役続行を宣言。
だが浅田真央が見つめている先は、「〇〇選手に勝てるか」ではないように思える。もともと彼女は芯が強いが、他人を見て闘争心を燃やすタイプの選手ではない。求めているのは、本来の自分の能力を取り戻して、氷の上で理想の演技を実現させることのみ。そういう潔い清廉さが、彼女の演技から伝わってくる。試合を一つ終えるたびに、着実に何かを得ている浅田が、シーズン後半に向けてどのような戦いぶりを見せてくれるのか楽しみだ。
GPファイナル進出を逃した村上佳菜子が、ここでは雪辱をはらして2位に入賞。そして14歳の宮原知子が小さな体で機敏にジャンプをこなし、3位に入って初のシニアメダルを手にした。GPファイナル3位だった鈴木明子は、SPでトップに立つもフリーでジャンプミスが出て4位。だがファンにとっては嬉しいことに、ソチ五輪を目指して来季まで現役続行する表明をした。宮原は世界ジュニアへ派遣され、鈴木が浅田、村上とともに世界選手権代表に選考された。