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野洲サッカーを育てた異端の指導者、
岩谷篤人が挑む“最後の選手権”。 

text by

木崎伸也

木崎伸也Shinya Kizaki

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photograph byShinya Kizaki

posted2012/12/30 08:01

野洲サッカーを育てた異端の指導者、岩谷篤人が挑む“最後の選手権”。<Number Web> photograph by Shinya Kizaki

身振り手振りをまじえ、野洲高校の生徒たちを教える岩谷。冬の全国高校サッカー選手権大会は、今年で2年ぶり8回目の出場となった。

スモールフィールドでの戦いと2バック、時々1バック。

 2つ目は「究極のショートパス」。

 今回の野洲は名古屋グランパスへの入団が内定している望月嶺臣を筆頭に、「止める・蹴る」の基礎技術が極めて高い。狭いエリアにも平気で飛び込んで行き、どんどん前へパスをつないでいく。

 岩谷は言う。

「日本サッカーが世界と戦うためにはどうすべきかを考えたら、答えは自ずと決まってくる。スモールフィールドでの戦いにこだわり、組織で逆を取っていくサッカーだ」

 相手が5メートル、2メートル、1メートルとスペースを縮めても、その隙間でボールを受け、相手をぎゅっと引き寄せておいて、空いた大きなスペースにボールを展開する。それが“スモールフィールドで戦い、組織で逆を取る”ということだ。

 3つ目は「2バック」。

 野洲の基本的な並びは4-1-2-3だが、サイドバックが極めて攻撃的なため、2バックと言った方が正確だ。さらにセンターバックも平気でドリブルで仕掛けて行くため、1バックになるときすらある。

「どんな相手でもマネキンが立っているだけのような試合になる」

 抽選の結果、野洲は1回戦(12月31日)でいきなり強豪の青森山田高校と対戦することになった。決して楽な組み合わせではない。

 だが、岩谷はまったく動じていなかった。

「相手は関係ない。野洲の子たちが自分たちの力を出せれば、どんな相手でもマネキンが立っているだけのような試合になる」

 はたして野洲は、高校サッカーの概念を根本から覆すことができるのか。ただの高校生年代の試合にならないことだけは間違いない。

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