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岡田監督の方向転換をどう考えるか?
“6・24決戦”への複雑な想い。
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph byFIFA via Getty Images
posted2010/06/24 11:00
日本人らしいサッカーでなくとも得るものが必ずある!
ここでまた、ひとつの逆説が脳裏をよぎる。
日本人らしいサッカーでないとしても、勝ち上がることで得るものは確実にある。そして、このサッカーで勝ち上がったその先に、今度こそ日本人らしいサッカーで勝ちたいという欲求が、いまよりもっと深く大きいものとして生まれるのではないか、と。
6月24日の注目点は、前回王者のイタリアがグループリーグを突破できるかどうかにある。大会全体から見れば、日本対デンマークはさして重要なカードでないだろう。デンマークが日本を退けて2位に滑り込むと考えている記者やファンが、世界的には多数派かもしれない。
“ドーハの悲劇”“ジョホールバルの歓喜”と並ぶ日付に。
第三者がどのように考えるのかは、我々には関係ない。
2010年6月24日は、日付だけで多くの記憶が蘇る一日となるはずだ。10月28日と聞いて“ドーハの悲劇”を、11月16日と聞いて“ジョホールバルの歓喜”を思い出す人がいるように。
8年前の忘れものを、取りに帰るためのゲームでもある。2002年6月18日のトルコ戦で抱いた消化不良は、いまも胸のあたりで燻る。雨の宮城スタジアムで抱いたやるせなさの行き先は、デンマークから勝ち点をあげることで見つけることができる。
胸の高鳴りを抑えるのが、そろそろ難しくなってきた。
日本サッカーの未来を変えるキックオフは、もうすぐである。