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闘将コンテ復帰のユベントスが独走!?
ピルロを先頭にスクデット&CL獲りへ。
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byAFLO
posted2012/12/22 08:02
12月9日の16節パレルモ戦で、今季初となる采配を振るったコンテ監督(中央)。1-0で勝利した復帰戦を喜んだ。
では……独走するユベントスに死角はあるのか?
そもそもユベントス自体が、2年前には“Mr.キエーボ”と呼ばれるデルネーリ監督(現・ジェノア)によって、地方クラブのようなサッカーをしていたのだ。昨季、ユベントスが成し遂げた下克上を目の当たりにして、地方クラブが“我もわれも”と意識の変化を起こしたとしても不思議ではない。
それでも、今季のクラブ・スローガン通り「俺たちはまだ飢えている」というユベントスと彼らが拮抗するにはまだ至らない。
上位陣が付け込む王者の死角はないのか。
ハイペースのツケが一気にきたのか、12月に入って故障者が続出している。未だノーゴールの上、左脚を手術したFWベントナーが来年3月まで離脱しようが今さら影響はほぼないが、復帰に2カ月を要するDFキエッリーニの右ふくらはぎ故障は痛い。
年明けからは、ガーナ代表MFアサモアがアフリカ・ネーションズ杯でチームを離れる。前者にはDFカセレス、後者にはDFデチェーリエという頼れるバックアッパーがいるが、今冬の移籍市場で何らかの補強は必要だ。
ドログバ獲得によりプレーバランスの崩れは、大きすぎるリスク。
後半戦への起爆剤として、CL前回大会を制した元チェルシーのFWドログバ(現・上海申花)を望む声は強い。ただし、ドログバほどのアクの強いカリスマFWを獲得した場合、現在の完成されているプレーバランスは崩さざるをえない。
カルチョ界のご意見番サッキは「サッカーはチームスポーツ。そのリスクを犯す必要はない」と忠告するが、エリートクラブとして完全復活を欧州中にアピールしたいアニェッリ会長以下クラブ上層部は、知名度あるトッププレーヤー獲得が必要か否か、選択を迫られている。
ピッチ上の司令塔ピルロは、どのような変化が起こっても「ユーベの連覇に向けて、最大のライバルはユベントス自身だ」と言う。しかし、後半戦に軒並み残っている上位陣とのアウェーゲームが、王者の足元を揺るがせるのは間違いない。
隙あらば、インテルやナポリ、ローマ勢が下克上を狙うセリエAで、“ユーベ独走”と断じるのは、まだまだ早い。