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最強バルサに暗雲が立ちこめる……。
ビラノバ監督、病気再発で戦線離脱。 

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工藤拓

工藤拓Taku Kudo

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photograph byMarcaMedia/AFLO

posted2012/12/22 08:03

最強バルサに暗雲が立ちこめる……。ビラノバ監督、病気再発で戦線離脱。<Number Web> photograph by MarcaMedia/AFLO

手術することを発表したロセイ会長らの19日の会見には、監督を心配したシャビ、イニエスタ、プジョル、バルデスらの姿もあった。

 これまで順風満帆のシーズンを送ってきたバルセロナが、いきなり試練に直面した。

 12月19日、午前11時前。クラブは突然、この日予定していたサンドロ・ロセイ会長による1年の総括会見、そして地元記者を招いて行うクリスマス恒例の昼食会を全て中止すると発表した。その際、理由は明かされなかったのだが、ほどなく地元紙の電子版に衝撃の見出しが現れる。

「ティト・ビラノバの病気が再発」

 耳下腺(じかせん。おたふく風邪で腫れる唾液を作る臓器の一つ)に腫瘍が発見され、ビラノバが最初の緊急入院をしたのは昨年11月22日のこと。幸い腫瘍の摘出手術は成功し、翌月10日のエル・クラシコにてベンチに復帰。その後も再発防止の治療を継続しながら第2監督の職務を遂行し、5月12日には「完治し、病気から解放された」と医師から全快のお墨付きを受けるに至った。

 6月に新監督就任のチャンスを得た際も、第一に考えたのは自身の健康状態だったという。それでも彼が「一生に一度あるかないかのチャンス」に挑むことを決断したのは、信頼のおける複数の医師から「お前は完璧な状態にある、前へ進め」と背中を押されたからだ。

復帰したアビダルと入れ替わるかのように戦列を離れる。

 しかし、発病の約1年後に肝腫瘍の再発に見舞われたエリック・アビダルと同じく、再び病魔は姿を現した。奇しくもそのアビダルは、ビラノバの再発が発覚したのと同じ日に医師から全体練習への復帰を許可されたばかりだった。

 同日夜に行われた会見にて、スポーツディレクターのアンドニ・スビサレッタが寂しそうな笑顔と共に発した言葉が印象に残っている。

「これが人生だよ。今朝コーヒーを飲んでいる時は理想的な状況だった。3選手の契約延長を終え、アビダルが戻り、リーガの立場もこの上ない。そんな時、人生では不意に下あごを殴られ、マットに倒されることがある。それでも再び立ち上がらなければならない」

 彼の言う通り、今季のバルセロナはこれまで理想的なシーズンを送ってきた。リーガでは2位アトレティコ・マドリーに9ポイント、3位レアル・マドリーには13ポイント差をつけ首位を独走中。チャンピオンズリーグでは最終節を前にグループ首位通過を決め、コパデルレイでもコルドバとのアウェー戦で先勝し、ベスト8進出をほぼ決めている。

【次ページ】 論理的かつ緻密な戦術で敵のバルサ対策を無力化。

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