MLB東奔西走BACK NUMBER
“選ばれし者”ハーパーが、
ストラスバーグと黄金期を築く!
text by
菊地慶剛Yoshitaka Kikuchi
photograph bySports Illustrated/Getty Images
posted2010/06/14 10:30
『スポーツ・イラストレイテッド』2009年6月8日号の表紙を飾ったハーパー。表紙を飾ったことに対して「信じられない」と語ったが、その一方では「いつかヤンキースでプレーして殿堂入りしたい」と語るなど、その野望は大きい
グリフィーJr.、A・ロッドを超えるハーパーの潜在能力。
今年2月から始まったカレッジのシーズンでもハーパーの輝きは衰えることを知らなかった。カレッジでは金属バットの使用が認められているが、ハーパーはシーズンを通して木製バットを使用しながら、66試合に出場し打率4割4分3厘、31本塁打、98打点を残し、チームをカレッジの全国ランキング2位に押し上げるとともに、全国大会出場に導いた。
ボラスはハーパーの才能が17歳時点でのケン・グリフィーJr.やアレックス・ロドリゲスを超えていると公言し、スカウトたちはすでにメジャー・クラスのスイングとバットスピードを有していると口を揃える。
ナショナルズは“外野手”のハーパーに可能性を見出した。
カレッジ出身者としては初の全体1位指名に踏み切ったナショナルズだが、それは難しい決断ではなかった。ただし、ハーパーの現在のポジションである“捕手”ではなく“外野手”として指名したのだ。
その理由をマイク・リゾGMは「彼の守備力は申し分なく、メジャーでも通用する捕手になれると確信しているが、外野手にすることでさらに彼の可能性を引き出せると思った」と説明する。
ナショナルズの当面の目標は、豪腕ボラス相手に期限の8月16日までに契約をまとめることだ。
昨年同じくナショナルズが全体1位指名し、ドラフト史上最高額の1510万ドルで契約したスティーブン・ストラスバーグの代理人も同じボラスだった。ハーパーの年齢を考えれば高校生クラスの金額が叩き台になるのだろうが、相手がボラスでは決して一筋縄ではいかないだろう。
超逸材投手ストラスバーグとのコンビで黄金時代を築くか。
それでも2年連続で超逸材を指名でき、リゾGMは「これだけの逸材が2年連続で登場したのは記憶にない。まさにラッキーとしかいいようがない」とご満悦。
すでにストラスバーグは、ドラフト翌日の6月8日にメジャーで初登板し、パイレーツ相手に7回4安打2失点14三振で勝利投手になる鮮烈なデビューを飾っている。
ここに順調に成長し数年後にハーパーがチームに加わるとしたら……。
投打のスーパースター候補を手に入れた“弱小”ナショナルズに、近い将来黄金期が訪れそうな予感すらさせられる。