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“選ばれし者”ハーパーが、
ストラスバーグと黄金期を築く! 

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菊地慶剛

菊地慶剛Yoshitaka Kikuchi

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photograph bySports Illustrated/Getty Images

posted2010/06/14 10:30

“選ばれし者”ハーパーが、ストラスバーグと黄金期を築く!<Number Web> photograph by Sports Illustrated/Getty Images

『スポーツ・イラストレイテッド』2009年6月8日号の表紙を飾ったハーパー。表紙を飾ったことに対して「信じられない」と語ったが、その一方では「いつかヤンキースでプレーして殿堂入りしたい」と語るなど、その野望は大きい

“The Chosen One”というフレーズを聴いたことがあるだろうか?

 日本語で「選ばれしもの」とは、長らくNBAキャバリアーズのレブロン・ジェームスの愛称として使用されてきたものだ。高卒からNBAに入り早7年。今年7月にFAになる彼の去就について大統領が言及し、彼を呼び寄せたいニューヨークやシカゴなどが街ぐるみで熱心な誘致活動を行うほど、その愛称に違わぬスーパースターとなった。

 そして数年前から野球界にも「選ばれしもの」と呼ばれる人物が出現した。6月7日に行われたMLBのドラフトで、ナショナルズから全体の1位指名されたブライス・ハーパーだ。

 高校時代の彼を表紙に使用したスポーツ・イラストレイテッド誌は、「野球界のレブロン・ジェームス」と呼びその名を全国区にした。YouTubeで彼の名前を検索すれば、そのプレーを紹介した動画が無数にアップされている。

 その注目度は相当なものだ。ドラフト当日にTVではESPNが、新聞ではUSAトゥデー紙がそれぞれ大々的な特集を組んだほどだ。

凄腕代理人ボラスが編み出したウルトラCのドラフト対策。

 ドラフト指名されたハーパーは17歳。普通なら高校3年(アメリカの高校は4年制)の年齢でドラフト対象外なのだが、奇想天外な離れ業を実現させたのが、ハーパー家の“アドバイザー(アマチュア選手の場合は形式上代理人契約ができないのでアドバイザーというかたちをとるが実質は代理人)”である凄腕代理人スコット・ボラスの辣腕だった。

 すでにハーパーは高校2年で“超高校級”だった。

 地元の試合で推定570フィート(約173m)の本塁打を放ち、昨年トロピカーナ・フィールドで行われた全国各地の有望高校生を集めた展示会(日本のように高校には全国大会が存在しないため、各地でスカウトを集めた高校生の展示会が行われる)で、名だたるメジャーのスラッガーたちを押しのけ、球場新記録となる右翼席後方の壁を直撃する502フィート(約153m)の本塁打を記録するなど、桁外れの逸話を残している。

 そこでボラスがとった行動は、ハーパーを高校2年で中退させてしまった。

 そして日本でいうところの高卒認定を受けさせ昨年12月に合格した後で、年度途中ながら南ネバダ・カレッジ(コミュニティ・カレッジもしくはジュニア・カレッジと呼ばれるアメリカ独自の制度で、高校卒業資格があれば誰でも入学できる2年制の大学)に編入させたのだ。大学生なら卒業前でもドラフト対象になるという盲点をついたわけだ。

【次ページ】 グリフィーJr.、A・ロッドを超えるハーパーの潜在能力。

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