熱パ!クライマックス劇場BACK NUMBER
CSを制した日本ハムの真の強さとは?
セ覇者を脅かす「常勝軍団」の秘密。
text by
田口元義Genki Taguchi
photograph byNIKKAN SPORTS
posted2012/10/22 12:10
クライマックスシリーズ第2戦、ソフトバンク・内川の打球をバックホームしてピンチを救った陽岱鋼。走攻守三拍子そろった活躍で日本ハムの快進撃を支えている。
終ってみれば3連勝。
1位通過に与えられるアドバンテージを含めて4勝0敗と、3位からの下剋上に燃えるソフトバンクを全く寄せ付けず、日本ハムが日本シリーズ進出を決めた。
クライマックスシリーズ(以下CS)ファイナルステージでの日本ハムの戦いぶりは、まさに理想的だった。
投手陣は、第1戦から吉川光夫、武田勝、ウルフが先発の役割をしっかりと果たし、石井裕也、増井浩俊、武田久のリリーフ陣もシーズン同様の働きを見せた。
攻撃陣も、初戦から2試合連続で値千金の本塁打を放った3番・糸井嘉男に、3試合で9打数4安打の4番・中田翔など、切れ目のない打線はCSでも健在だった。
「選手たちががむしゃらに頑張ってくれたおかげです」
3連勝の要因を報道陣から聞かれた栗山英樹監督は、即座にそう答えた。
もちろんこの勝利は、選手たちががむしゃらに戦った結果でもあるだろう。だが、がむしゃらだけで勝てるほどCSは甘くはない。
チームの危機を救ったセンター・陽岱鋼のバックホーム。
がむしゃらに戦ったことの他に投手力、攻撃力が勝因に挙げられるだろうが、それ以上に重要なものがある。
守備と走塁――。
特に第2戦と第3戦では、このふたつがチームの勝利を決定づけることとなる。
第2戦では守備がチームを支えた。
1対0の6回だった。1死三塁のピンチで、ソフトバンクの3番・内川聖一が浅いセンターフライを放つ。ここで三塁走者の松田宣浩が、躊躇せずタッチアップを敢行する。
センター・陽岱鋼の右ひじが万全ではなかったことに加え、やや右中間寄りの位置で捕球したため、松田が「送球が逸れる」と判断したのも当然だと言える。
だが、陽は見事なまでのワンバウンドのストライク送球を披露した。同点を防いだ彼のプレーは、7回の糸井のダメ押し2ランに結び付く大きなアシストとなった。
指揮官は「やっぱり陽岱鋼です」と、この試合での勝敗の分け目について迷わず陽の補殺を挙げ、同時に、「センターからの送球はマウンドがあるからイメージがしづらい。そんななかで陽は投げてくれた」と、彼のプレーを評価した。
陽のみならず、日本ハムのレギュラー外野手の意識は、今季、特に高かった。