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マンUと香川真司の冒険は続く――。
“ダイヤモンド型の中盤”という革命。  

text by

ミムラユウスケ

ミムラユウスケYusuke Mimura

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photograph byAP/AFLO

posted2012/10/24 12:40

マンUと香川真司の冒険は続く――。“ダイヤモンド型の中盤”という革命。 <Number Web> photograph by AP/AFLO

前半28分にスライディングで左膝を負傷した香川だが、その後も攻守にわたって果敢なプレーを披露。自ら交代を申し出ることなく、前半最後までピッチに立った。

負傷後の必死なプレーに感じた、香川の意気込み。

「戦っていた」を「闘っていた」と置き換えてもいいのかもしれない。怪我をしたあと、一度、治療のためにタッチラインの外に出たものの、ピッチに戻ってからは膝の状態を気にしながらも、香川は必死にプレーを続けていた。

 圧巻だったのは、前半37分のプレー。ユナイテッド陣内でボールを持っていたミカエルに対して、スライディングでボールを奪いにいったのだ。約10分前にスライディングで負傷した事実など、吹き飛ばさんばかりの勢いだった。ドルトムント時代とは異なり、今の香川に通訳はいない。自らの意気込みを、姿勢を、気合を見せるのにこうしたプレーほど有効なものはないだろう。

 前半42分、ユナイテッドがコーナーキックを得て、プレーが切れたとき、両チームの誰よりも早く水の入ったボトルを拾った香川は、自らの左ひざに水をかけていた。痛みをとるためのおまじないでもかけるかのように。彼が水を本来の用途、つまり口にしたのは、左ひざを十分に冷やしてからだった。

 試合後、報道陣の問いかけに短く対応した香川は、「自分から交代を申し出る選択肢はあったのか」と最後に問われるとこう答えた。

「それは言いたくなかった」

 そして、「お疲れ様です」と付け加え、報道陣の前を去っていった。

 負傷してからも香川を必死なプレーに駆り立てたのは、現状を打開しなければいけないという危機感だろう。

 新たな扉を開けるチームとしての戦いとともに、自らの存在価値をかけた香川の戦いも続いていく。

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