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満身創痍の西武に勝機アリ!?
攝津対策から見えるCS戦略とは。
text by
田口元義Genki Taguchi
photograph byHideki Sugiyama
posted2012/10/12 11:10
3年連続のAクラス入りが評価され、6年目となる来季の監督続投が決まった渡辺監督。「もう1回チャンスをもらったのだから何とか優勝したい」とCSへ向けて力強く語った。
2戦先勝――。
1位チームに1勝のアドバンテージが与えられるファイナルステージと違い、ファーストステージは勝ち星に有利不利がない下剋上の舞台。
2004年から'06年までのプレーオフを含む過去8度のファーストステージで、半分にあたる4回も3位チームが2位チームに勝利していることでも分かるように、この舞台でレギュラーシーズンの順位など関係ないのだ。
その視点から今季のファーストステージの趨勢を占えば、2位の西武より3位のソフトバンクのほうが優勢、との見解も多いことだろう。
主力に故障者が多く、満身創痍の西武。
まず、数字が物語る。
レギュラーシーズンの対戦成績こそソフトバンクの13勝11敗とほぼ互角ではあるが、チーム打率2割5分8厘、防御率2.38は、2割2分4厘、3.24という西武のそれを大きく上回っている。
チーム状況においてもそうだ。
左尺骨骨折のためCSでの復帰が厳しいとされるキャプテンの栗山巧をはじめ、打線のキーマンである中島裕之は左脇腹痛、主砲の中村剛也も左ひざに不安を抱えているなど、西武の満身創痍な状態は周囲から常に指摘されている。
かたやソフトバンクは、山田大樹が不調と左肩の違和感のためファーストステージには出場できないものの、松田宣浩が右手甲骨折から復帰。首痛などから戦列を離れていたリリーバーのファルケンボーグもCS出場の目処が立っている。
何より、ソフトバンクには攝津正という絶対的なエースがいる。
最多勝となる17勝、勝率7割7分3厘で最優秀投手賞も獲得した。そして、防御率もリーグ3位の1.91と圧倒的な数字を残している。
しかも、攝津は今季、西武戦には滅法強い。