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「生涯、一捕手として」
城島健司の潔い引き際。
~貫き通したリードへの矜持~
text by
永谷脩Osamu Nagatani
photograph byKYODO
posted2012/10/13 08:00
9月28日の記者会見で今季限りの引退を表明した城島は、あふれる涙を堪えきれなかった。
「4億円もらいながら阪神の優勝に貢献できなかった男には、晴れの場はいらない」
城島健司は、球団が用意した甲子園での引退試合を頑なに固辞したという。引退表明から一夜明けた9月29日、鳴尾浜でのウエスタン・リーグ・オリックス戦で、1回限定でマスクをかぶり、ユニフォームを静かに脱いだ。
2度にわたる左ひざの手術と椎間板ヘルニアで苦しみ、満足にプレーできないとき、株主総会で「不良債権」と批判された。人一倍チームの勝利を考えていた彼にとっては、屈辱だったにちがいない。
「野球が好きで、捕手が好きで……。捕手が出来ないと分かってプレーすると野球が嫌いになってしまいそうだから」