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満身創痍の西武に勝機アリ!?
攝津対策から見えるCS戦略とは。
text by
田口元義Genki Taguchi
photograph byHideki Sugiyama
posted2012/10/12 11:10
3年連続のAクラス入りが評価され、6年目となる来季の監督続投が決まった渡辺監督。「もう1回チャンスをもらったのだから何とか優勝したい」とCSへ向けて力強く語った。
敵地であるはずの西武ドームで、圧倒的に強い攝津。
西武を相手に6試合で登板し、5勝1敗、防御率2.36。
特に敵地の西武ドームでの試合に限って言うと、今年の4連勝を含めて一昨年から数えると、9月4日のゲーム時点で7連勝をマークしているほど相性がいい。
これだけの材料が揃っていれば、ソフトバンクが有利との見方をされても無理はないだろう。
だが――。裏を返せば、西武としてもその材料を逆に利用できる、ということにもなる。
「うちが勝つと思うよ」
渡辺久信監督は、ファーストステージを目前にして、そう不敵に語る。
この言葉の裏に見え隠れするもの。それは、「初戦で攝津を叩けばファーストステージで勝てる」という、指揮官の策謀である。
ソフトバンクやCSにもまったく動じない牧田が初戦で登板。
本来の実績、ローテーション通りに考えれば、初戦は岸孝之と攝津の投げ合いになる。しかし、渡辺監督はそれをあえて避けた。
レギュラーシーズンで両者は3度投げ合い、岸は0勝2敗と分が悪い。だからといって、CSでも負ける保証はどこにもないが、「勝てていない」というイメージはどうしても払拭しきれないものだ。
そこで、初戦の先発に抜擢されたのが牧田和久だった。
牧田は、レギュラーシーズンのソフトバンク戦では4試合に投げ3勝1敗、防御率0.33と抜群の数字を残している。
さらに好材料を付け加えるとすれば、今季は攝津と1度も投げ合っていない。
「内角が打たれづらいのは分かっています。ロースコアの展開になるので、先に点を与えないように、我慢強く投げたいです」
CSを目前に控え、牧田はこのような強気な姿勢を見せている。この言葉からも窺えるように、苦手意識は全く感じられない。むしろ、いつも以上にフラットなモチベーションでマウンドに上がれそうな予感すら漂わせている。
牧田で初戦をものにできれば、2戦目は岸が投げるだろう。ソフトバンクは順当ならば大隣憲司の先発(もしくは武田翔太)が予想されるが、岸の今季唯一となるソフトバンクからの勝利は、大隣と投げ合って得たもの。勝機は十分にある。