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<あの人はいつどうやって走っているのか?> 柏原竜二 「型破りな練習で2時間5分台を目指したい」
text by
小堀隆司Takashi Kohori
photograph byNanae Suzuki
posted2012/10/04 06:01
距離、スピード共に東洋大時代を上回る練習。
――振り返ると、東洋大の陸上競技部も朝練は必須でした。生活のリズムは学生時代とあまり変わってないようですね。
「ただ、学生の頃はキャンパスが遠かったので、そのぶん時間に余裕ができました。通勤時間が短いから、朝も少しだけゆっくり寝ていられます」
――現在の寮は一人部屋ですか。
「はい。だいぶ広くなって、ちょっと僕には落ち着かないくらい。荷物がゴチャッとあって、隅っこにいる方が好きなので」
――合宿が多いようですが、会社には月平均どのくらい出社してますか。
「月に1度はこうした1週間程度の合宿があるのでまちまちですけど、特に夏場は忙しくて、ここ1カ月は顔を出せていないです」
――では学生の頃より練習量は増えている?
「正直、伸びましたね。月間で1000kmは(累積の走行距離)超えていると思います」
――質の面ではいかがでしょう。
「東洋も練習はしていた方だと思うんですけど、実業団になると距離の他にスピードが加わるんですね。例えば30km走を、学生時代は1km4分とか3分40秒のペースでしかやってこなかった。それが今では3分半がベースで、最後はさらにスピードを上げていく。まだ先輩方にはどうしてもラストのところでついて行けません。ただ自分の持ち味は試合でいつも以上の力を出せることだと思うので、気持ちだけは負けないようにしています」
学生時代、箱根のロードで数々の記録を打ち立てた柏原も、トラックの記録を見ればまだ日本のトップとは言い難い。
この春、富士通本社で行なわれた入社記者会見では、近い将来のマラソン挑戦を表明。ただし、この1年はまずトラックのスピード強化に重点を置くプランが明らかにされた。
「キツイ中でも面白く練習させてもらっているなと思います」
――今年は1万mで27分台を出すことが目標だと。手応えはいかがですか。
「うまくいけば出るんじゃないかと思います。春先に比べてだいぶ体が絞れてきたと監督も言って下さっているので」
――チーム内の競争は激しい?
「先輩方ともそうなんですけど、今年は新しく(ジョハナ)マイナ選手が入って、けっこう競い合って練習をしてます。僕が今まで見た中でもとびきり明るいケニア人で、フレンドリーなんですよ。まだぜんぜん日本語はしゃべれないんですけど、片言で『オイ、キョウハ、イイレンシュウシタナ!』とか言われて。ため口というか、彼は僕の1コ下なんですけどね(笑)。キツイ中でも面白く練習させてもらっているなと思います」