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<あの人はいつどうやって走っているのか?> 柏原竜二 「型破りな練習で2時間5分台を目指したい」 

text by

小堀隆司

小堀隆司Takashi Kohori

PROFILE

photograph byNanae Suzuki

posted2012/10/04 06:01

<あの人はいつどうやって走っているのか?> 柏原竜二 「型破りな練習で2時間5分台を目指したい」<Number Web> photograph by Nanae Suzuki
東洋大学のエースとして箱根駅伝を3度制した柏原竜二は、
社会人となった現在、どんな日々を過ごしているのか?

10月4日(木)発売の雑誌Number Do『秋のランニング特集 忙しい人ほどよく走る!~あの人はいつどうやって走っているのか?~』より、特別公開です!

 衣が替われば、気持ちも変わる。

 ましてやそれが、4年間着慣れたユニフォームであればなおさらだろう。箱根駅伝を3度制し、栄華を極めた“鉄紺”を脱ぎ捨て、柏原竜二は今春、新たに“赤白”のジャージに袖を通した。箱根のヒーローから一転、社会人1年目のルーキーになったのだ。

 富士通に入社して約半年、彼は今、どのような社会人生活を送っているのだろうか。

――もう赤白のジャージには慣れましたか。

「そうですね」

――最初の頃は違和感を感じたり……。

「いや、僕の中ではそれほど。ただ色が変わっただけで、やっていることは今までとほとんど変わってないですから」

 この日、柏原を取材したのは合宿先のホテルだった。赤トンボが乱舞する菅平高原で、朝の練習を終えたばかり。日本陸連主催の強化合宿を経て、立て続けにチームの合宿に参加している影響だろう。表情にはやや疲れのあとがみてとれる。

「学生時代と何が変わったって、一番は夏休みがないことですね。合宿の次の日、『あぁやっと休める』じゃなくて、会社に行かないといけない。これがけっこうキツイです」

 でも、と複雑な心情を打ち明ける。

「いざ『有休を取れ』と言われても、何をしていいのかわかんないんですよ。みなさんが会社で働いている時に、休んでいいのかと思うし、土日にレースやイベントに出て、それを理由に休みを取るのは罪悪感があって。僕にとって、やっぱ陸上は好きでやらせてもらっていることなので」

「所属部署ですか? ええっと、すごく長いんですよ」

 マジメで細やか――受ける印象は社会人になっても変わらない。新しい職場では、どんな業務をこなしているのだろう。

「所属部署ですか? ええっと、すごく長いんですよ。名称が長すぎてまだ覚え切れてなくて。あとでしっかり確認してもらった方がいいです(後に問い合わせたところ、所属は「行政システム事業本部 第一ソリューションビジネス統括部 第二ビジネス部」)。

 いわゆる地方自治体向けのシステムを構築している部署で、僕はそのお手伝いをしてます。書類整理とか、この前は少しシステムの中身も教えてもらったりして。まだチンプンカンプンですけど、新鮮味がありますね」

 勤務先は、JR海浜幕張駅から歩いてすぐの高層ビルだ。陸上競技部の寮は電車で2駅の距離にあり、「雨の日以外は自転車で通って」いる。典型的な1日のスケジュールを聞くと、決まったルーティンがあるかのようにすらすらと答えた。

「朝5時20分に起床。6時から朝練して、7時半くらいに朝ご飯を食べて、8時に自転車で寮を出ます。20分で会社に着いて、そこから仕事。昼は社食が多いです。寮に帰るのは13時頃で、15時とか16時から19時の夕食までが練習の時間。夜は早ければ22時、遅くとも23時には寝てますね」

【次ページ】 距離、スピード共に東洋大時代を上回る練習。

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