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バイエルンでの苦渋の時を経て――。
2年目の宇佐美がいよいよ覚醒する!
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph bypicture alliance/AFLO
posted2012/09/27 10:35
20歳4カ月10日でのゴールは、香川の21歳5カ月25日を塗り替えるブンデスリーガの日本人最年少弾。翌日は愛妻蘭さんの誕生日でゴールを約束していたとか。
今から1年と2カ月前、大きな期待とともに日本からドイツへやってきた宇佐美貴史が、ようやく本領を発揮し始めようとしている。
昨季はバイエルンでリーグ戦3試合の出場に終わったが、今季は、ホッフェンハイムで見違えるような活躍を見せることになるかもしれない。ロンドン五輪に参加したために、開幕スタメンの座をつかむことは出来なかったが、ここにきてチーム内での存在感を増している。
圧巻だったのは、9月16日の第3節フライブルク戦だった。
今季初めてスタメンに名を連ねると、スルーパスで2対2の同点弾をアシスト。さらには、3対3の同点に追いつく、ブンデスリーガ初ゴールを決めた。鋭いドリブル突破も披露し、両チームの中で最も目覚ましいプレーを見せていた。
しかしながら、その様子は、日本には十分伝わっていないだろう。ホッフェンハイムが結局3対5で敗れ、開幕から3連敗となったせいもあるが、同じ週末、先制ゴールを決めてフランクフルトを3連勝に導いた乾貴士や、1ゴール、2アシストの活躍を見せた清武弘嗣(ニュルンベルク)の活躍の陰に隠れてしまったのではないだろうか。
敗れたチームの選手としては異例の高評価を獲得。
勝敗を度外視するならば、宇佐美は他の2人をしのぐパフォーマンスを見せたと言っても過言ではない。だが、敗れたチームの選手としては異例の高評価である2.5点(1が最高点、6が最低点)をキッカー誌がつけたことも、試合後に地元記者の間で絶賛されていたこともほとんど伝わっていない。
ドリブルで仕掛けるプレーなら、たしかに、昔から宇佐美は得意にしていたかもしれない。だが、宇佐美自身は、フライブルク戦で相手陣内を何度も切り裂いたドリブルについてこう語っていた。
「シーズン前に走りまくって、筋トレしまくったので、馬力というか、踏ん張りがすごく効くなというのを感じます。あとは、単純にスピードで相手をぶっちぎれるということも、今までなかった。そうやって単純にスピードで勝てる分、応用も利くので。そこからスピードを止めて中に行くことも出来るし」
ナンバー811号のインタビューで宇佐美は「たぶんうちの練習はマガト監督の次にきついんじゃないかな」と話していたのだが、実は、こんな笑い話がある。