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バイエルンでの苦渋の時を経て――。
2年目の宇佐美がいよいよ覚醒する!
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph bypicture alliance/AFLO
posted2012/09/27 10:35
20歳4カ月10日でのゴールは、香川の21歳5カ月25日を塗り替えるブンデスリーガの日本人最年少弾。翌日は愛妻蘭さんの誕生日でゴールを約束していたとか。
宇佐美は今、ドイツで最も厳しい練習を積んでいる!?
現在はドイツ2部のヘルタ・ベルリンでプレーするコビアシビリという選手がいる。
彼は'09-'10シーズンのウインターブレイク中にシャルケからヘルタへと移籍した。当時のシャルケの監督は厳しい練習を課すことで有名な“鬼軍曹”マガトであり、(コビアシビリの移籍から約半年後に就任した)ヘルタの監督こそ、現在ホッフェンハイムで指揮をとるバッベルだった。少しは練習も楽になるだろうと考えていたのだが……。
「バッベルのもとで練習してみて驚いたよ。マガトよりもハードなメニューを用意しているんだからね!」
コビアシビリの証言が本当であるならば、宇佐美は今、ドイツで最も厳しい練習を積んでいることになる。その結果の馬力であり、スピードなのだ。
ただ、宇佐美の役割は攻撃だけではない。守備でもハードワークを求められる。ホッフェンハイムでは守備の際のポジショニングについて、非常に細かく指示されている。
フライブルク戦、相手はビルドアップの際、両サイドバックをウイングバックのような位置まであげ、その代わりに中盤のアンカーの選手がセンターバックの位置まで下るスタイルをとってきた。相手の不規則な動きに対する守備について宇佐美は、「試合途中からは修正できた」と話していたのだが……。
「守備でサボったら、試合の次の日にミーティングでめちゃくちゃ、クローズアップして言われる。(フライブルク戦では試合の序盤に)戸惑ったのですが、ミーティングではそこをめちゃ、クローズアップされていたから(笑)」
バッベル監督からの信頼も実感しながら、攻守に汗を流す日々。
チームは開幕戦から3連敗を喫しており、ピリピリしたムードが漂っていたが、宇佐美はそうした雰囲気の中で注意されたことでさえ、サラッと振り返ってみせる。守備をしっかりこなすのは当たり前。その上で、いかにして良い攻撃を仕掛けられるか。そんな意識が背後に垣間みえる。
さらに、バッベル監督からの信頼も実感している。
「監督は自分のスタイルもよくわかってくれていますし、自分が最も活きるポジションで使ってくれるし。守備のところのポジションどりとかは結構細かく言われていますけど、楽しんでやれよという感じですから」
しっかりと練習をしたという自負があり、攻撃だけではなく守備で汗を流すことも厭わない。そして、監督からの信頼を感じている。だからこそだろう、フライブルクで敗れたあとにはこう話していた。