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今季公式戦に全試合連続出場中!
なぜ長友はインテルで重用される? 

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弓削高志

弓削高志Takashi Yuge

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posted2012/09/28 11:45

今季公式戦に全試合連続出場中!なぜ長友はインテルで重用される?<Number Web> photograph by Getty Images

シエナ戦の敗北時、『ガゼッタ』紙は「その献身的プレーは満点に値する。すべてのボールに対して人生を懸けたかのようにアタックしていった長友」と掲載。ただし、本拠地サン・シーロで勝てないという結果に対して、厳しい評価を与えていた。

 この男はどこまでタフなのだろう。

 今シーズン、苦しい序盤を過ごすインテルで、長友佑都は攻守に確かな存在感を示し続けている。とりわけ、9月下旬の3連戦は長友にとっても濃密な7日間となった。

 20日(木)に迎えたヨーロッパリーグ(EL)・グループリーグ初戦に左サイドバックとして先発したが、インテルはルビン・カザン相手に苦戦。長友は大きくサイドに開いて敵陣にドリブルで切り込もうとしたが、逆に裏のスペースを狙われ、チームは1対2とリードを許す。万事休すかと思われた後半47分、敵陣左でボールを持った長友は、DFサムエルにボールを預けると中央へ切り込んだ。

 右に開いたFWミリートから放たれたクロスに、右足アウトサイドを合わせるとそのまま振り切り、ファーサイドへ叩き込んだ。

 チームを初戦黒星から救った起死回生のファインゴールは、90分を終えてなお勝ち点を諦めなかった韋駄天DFの執念の賜物だった。

 韋駄天に休息は許されない。中2日で臨んだ23日(日)のセリエA第4節シエナ戦では、右SBとして先発。全速力で飛ばしたドリブルは、身長差15cmのDFネトに体当たりで止められた。小柄な肉体に衝撃はズシリと重く残る。右太ももの痛みに表情が歪む。

 脆いセンターバックの穴を突かれ、2失点黒星を喫するとインテルの選手たちの頭上にはブーイングが降り注いだ。今季始まってからの不名誉なホーム未勝利記録は5に伸びた。

過密スケジュールでも3バックでも、インテルは長友を使い続けた。

 木曜開催のELと日曜開催のセリエAの間には、休養するにも練習するにも不十分な2日間しかない。

 ターンオーバーによって休養した39歳の鉄人サネッティも「例年より1カ月早かったシーズンインの影響が今、疲れになってきている」とつぶやいたほどだ。過密日程は今後、さらに厳しさを増す。

 雨上がりで迎えた26日(水)第5節キエーボ戦、ストラマッチョーニ監督は、失点の多い守備陣に変化を与えるべくセリエAで大流行中の3バックをついに導入。スタメン落ちを予想した現地紙予想の向こうを張って、長友には右のウイングハーフの先発ポジションが与えられた。

【次ページ】 疲労困憊なのに……闘志溢れるプレーを続ける長友。

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