野次馬ライトスタンドBACK NUMBER
落合博満氏の講演会に潜入――。
オレ流発言から考えるWBC監督問題。
text by
村瀬秀信Hidenobu Murase
photograph byHideki Sugiyama
posted2012/09/14 10:31
中日監督時代の落合氏。次にユニフォーム姿が見られるのはいつの日か。
落合氏の講演会チケットは納得のソールドアウト。
WBCIの不平等条約に異を唱えた選手会が不参加を表明していた問題も、ようやくここに来て日本の参加が決定し、いよいよ第3回大会に向けてのチームづくりがはじまった。この大会は歴史が浅いとはいえ、まぁいろいろと、本当にいろいろと問題点が噴出しまくり、ずっとモヤモヤした思いを拭えずにいるのだが、現時点での最大のモヤモヤは日本代表監督を誰が務めるか、であることは間違いない。
この日行なわれた落合氏の講演会のチケットは、WBC監督問題、そして週刊誌上での「救急車で緊急搬送された」という報道もあってか、2000席がソールドアウト。特にWBC監督問題に関しては、8月26日に巨人軍渡邉会長がラジオ番組で「落合君しかおらん。だって他にいますか」と具体名を発して以降報道が過熱。公の場で落合氏が発言するとあっては注目が集まらないはずがなかった。
一瞬で会場のメディア関係者を凍りつかせた落合氏の牽制。
普段めったにマスコミに口を開かない落合氏のこと。当然、メディア関係者がこの会場に押し寄せてきたわけだが、それを見越した落合氏が開口一番「多分、この会場内に相当数のマスコミ関係者が入っているはずです。あいつらはダメと言っても勝手に写真を撮ったり録音をしたりと何でもあり。今日喋ったことも明日の新聞か、近いうちの週刊誌で活字になって出ていくんでしょう」と、いきなりの牽制で会場は大爆笑。一瞬で会場にいたメディア関係者の背筋を凍りつかせ、筆者にノートを閉じさせ帰り支度をさせるほど、往年の切れ味は未だ衰えず。
ただ、「今はそういう時代なんだから、この講演会を通じてたまにはその人たちに本当のことを書いてもらわなければいけないのかなぁ。憶測でモノを書かれると尾ひれがついてわけのわからないことになるので、たまにはいいのかなぁ」と諦め半分に容認してくれたので、隣の席の男性からの「あ、こいつマスコミのクズ野郎だ」という痛々しい視線に負けず必死にノートをとった落合氏の発言をいくつか拾ってみたい。