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フル代表に行くヤングなでしこは誰?
宮間も驚いた、恐るべきポテンシャル。
text by
矢内由美子Yumiko Yanai
photograph byToshiya Kondo
posted2012/09/10 11:25
3位入賞を果たしたにもかかわらず満足していないという猶本(前列中央)。「悔しかった。金メダルが良かったです。アメリカが喜んでるのを見て悔しくなりました」
「お手本はフォルラン、C・ロナウド、本田圭佑さん」
すると前半24分、センターサークルのやや前でボールを受けた田中陽が、ドリブルで持ち出して左足で強烈な無回転シュートを放った。
GKホワイトの手をはじき飛ばすロングシュートで先制。
今大会最多の2万9427人を飲み込んだスタンドが沸いた。
「距離があったので、無回転じゃないと入れる自信がなかった。今まで練習してきたので、入って良かった。無回転のお手本にしているのは、フォルラン、クリスティアーノ・ロナウド、本田圭佑さん、スナイデル。蹴る瞬間の体の重心移動を何度も見ている」
今大会6点目のゴールを挙げた田中陽はスーパーゴールをそう言って振り返った後、「大きな大会で勝っていかないとたくさんの強い相手と試合をすることはできない。今回の経験はこれからに生きてくると思う。自分の人生を変える大きな大会になった」と結んだ。
「勝ったけど、内容は良くなかった」と語る猶本。
田中陽の先制ゴールの後も、日本はゴール前で体を張った守りを見せるなど、ナイジェリアの猛攻を泥臭く撥ねのけていった。
後半はFW道上彩花(常盤木学園高校)を下げて西川明花(FC高梁吉備国際大学)を投入。そして、後半5分、貴重な2点目が生まれる。
前半途中からピッチに立っていた柴田華絵(浦和レッズレディース)からのスルーパスに抜け出した西川が、冷静にシュートを流し込んだ。交代出場だった2人による追加点。これもまた、ピッチとベンチを大いに沸かせた。
日本は後半29分に直接FKから1点を返されたが、最後は文字通り全員が一丸となって相手を封じ込め、2-1で勝利。3位を確保した。
ただ、ダブルボランチの一角として6試合すべてに先発フル出場した猶本光(浦和レッズレディース)が「勝ったけど、内容は良くなかった」と反省したように、ナイジェリアとのこの試合では細かいミスが多く、ボールポゼッションでは6試合で初めて日本が相手を下回った。