日本代表、2014年ブラジルへBACK NUMBER
UAE戦でザックジャパンを総チェック。
イラク戦を前に見えた“嬉しい悩み”。
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byTakuya Sugiyama
posted2012/09/07 12:20
本田からのクロスを頭で合わせた前半30分、酒井宏のクロスにダイビングヘッドでゴールを脅かした同45分と、ゴールシーン以外でも、その194センチの高さで威圧感タップリだったマイク。
嬉しい悩みと、重苦しい悩み。
新潟のビッグスワンで行なわれたUAEとの親善試合を1-0で終えた後の記者会見。アルベルト・ザッケローニ監督は来たるべき5日後のブラジルW杯アジア最終予選、イラク戦(埼玉スタジアム)のメンバーについてこのように言及した。
「UAEとの試合を終えてみて、後の回復具合も考慮しながらイラク戦のメンバーを決めていきたいが、11人中、大体8人から9人は頭のなかに決まったメンバーがいる。イラク戦は親善試合ではないので、コンディションのいい選手を使っていきたい」
コンディションの見極めもあるとはいえ、つまりこの段階に来ても2、3のポジションでまだメンバーを固め切れていないことを吐露したわけである。ザッケローニを深い悩みの世界に引き込む、そんな試合内容だったと言えた。
出場停止となる今野泰幸の代役探しは、この日もメドがつかず。
まずは「重苦しい悩み」から。
出場停止となる今野泰幸の代役探しはこの日もメドがつかなかった。
指揮官は8月のベネズエラ戦と同じくまず伊野波雅彦を先発させ、後半開始から水本裕貴と入れ替えるパターンを取った。だがイラク戦の直前ということを考えると、伊野波のパフォーマンスに納得できていればもっと時間を引っ張って使ったはずである。
伊野波はコンディション自体悪くなかったが、“チャレンジ&カバー”のところで不安定だった。
象徴的と言えるのが前半44分のプレー。日本の左サイドにスペースが生まれ、そこを突いてきた相手に伊野波が対応しようとしたものの、遅れて出てしまったことでかわされて決定的な場面をつくられてしまった。ベネズエラ戦と同様に、闘志が空回りしていたような印象だった。
後半に出た水本は比較的、落ち着いていたように思う。
全体の距離もコンパクトになり、前半の修正もできていた。思った以上にテクニックがあったUAEの中盤に対し、簡単に飛び込もうとせず、前を向かれながらも最後のところで食い止めていた。ただ、スペースを突かれたときの対応や、ボランチやサイドバックと連係しながらのパス回し、つなぎという部分ではまだしっくりいってないところがある。