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スター流出で寄せ集めの選手ばかり!
暗雲立ち込めるミランに勝機はあるか。
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byGetty Images
posted2012/09/08 08:02
第2節ボローニャで初先発した新加入のパッツィーニ(左)がハットトリックを達成し、チームに今季初白星をもたらした。このままの勢いで新生ミランは勝ち進むことができるのか。
駆け込み補強の甲斐なく、26年ぶりの開幕戦0封負け。
加えて、インザーギの背番号9を受け継ぎ、今季こそガラスのエースの汚名返上、と意気込んでいたはずのFWパトが、開幕4日前に左脚内転筋を負傷。サポーターが淡い期待を抱いていたMFカカ(R・マドリー)の復帰も幻に終わった。
さすがに尻に火がついたフロントは、カッサーノとのトレードでインテルからFWパッツィーニを獲得したが、仕上がりの遅さを払拭できないまま迎えた昇格組サンプドリアとの開幕戦では、なおチームの足並みが揃わず、あえなく0-1で敗戦。
ノーゴールでの開幕黒星は、'86年のアスコリ戦以来、26年ぶりのことだった。
何しろサンプ戦の先発メンバーのうち、昨季の開幕カード(2節ラツィオ戦)でも先発した選手は、わずか3人(GKアッビアーティ、左SBアントニーニ、MFボアテング)のみ。「走れないし、フィジカルも弱い」と歴代OBたちからもミランの今季を危ぶむ声が広がった。
インテルから移籍のパッツィーニが初白星に大きく寄与。
反攻の狼煙を上げたのは、2節ボローニャ戦で初先発した新加入パッツィーニだった。
周囲との連携はまだこなれていないものの、GKのミスに乗じてこぼれ球を押し込んだかと思えば、ヒールでコースを変えて、次々にゴールネットを揺らした。いずれも泥臭い得点でトリプレッタ(ハットトリック)を奪って、敵地で快勝を収めた。
パッツィーニは昨季深刻なスランプに陥り、EURO本大会出場も逃した。インテルでの居場所を失った彼は、今季1年を棒に振る危険性もあった。しかし、ボローニャ戦を視察に訪れていたプランデッリ代表監督の目前で、最上の結果を出し、ブラジルW杯予選に挑む代表復帰を手中にした。
「ここ数カ月というもの、ずっと苦しんできたから本当に嬉しい。この勝利は、俺たちに落ち着きとやる気を呼び戻してくれたよ」