“簡単に点をとれる”藤原野球の真骨頂!?

　前田健太とバッテリーを組んでいた仲谷龍二が藤原野球をこう語る。

「藤原さんには野球の奥深さを教えてもらいました。こんな簡単に点をとれるのかと思ったほどです。ノーヒットで1点をとれますから。

　リード面に関して言えば、1ボール2ストライクを作るのが理想という上で、さらにバッターを見ろと言われました。バッターが構えるじゃないですか。その時に、手首が少しでも返ったら、インコースと外の変化球は打てない、と。内からバットは出せないからヘッドが遅れるんです。

　攻撃面では8回に0－2で負けていて、ノーアウト1塁の場面で、バッターにバントの構えをさせる。バッテリー心理で2点を勝っていて、送りバントの構えをされるとラッキーって思うからストレート投げるんですよ。でも、セットに入った途端、バントの構えをやめるんですよ。サインは決まっているからストレートを狙えばいい。（前田）健太がそれをして、打ったことあります」

百戦錬磨の藤原をもってしても「甲子園の壁は厚い」。

　佐久長聖には4月に就任したばかりだが、就任4カ月で過去9年間も出場できなかったチームを甲子園に導いたのである。その手腕は評価されていいだろう。

　1回戦の作新学院戦でホームランを打った森井駿太郎は言う。

「監督が来てチームが明るくなりました。それだけではなく、藤原監督には考えて野球をやることを教えていただきました。今まではただバットを振っているだけだったのが考えてできるようになりました。今日の試合でも、ちょっとしたことなのですけど、バットの出し方を変えてみたら、（ホームランを）打つことができました。中身の詰まった野球で、とても勉強になりました」

　それでも、佐久長聖は1回戦で敗退している。

　藤原は、2校目での指揮をこう振り返る。

「甲子園の壁は厚いですね。簡単には勝たせてくれない。一生懸命チームを作ってきたつもりでしたが、練習不足を痛感しました。ユニフォームは違いますけど、一生懸命頑張る子供たちとやるということには変わりはない。『元PL』と言われてしまうのはしょうがないと思っています。実際、僕自身はPLで学ばせてもらいましたし、成長させてもらいましたから。ただ、今は佐久長聖の教員です。甲子園に連れてきてくれた3年生にはありがとうと言いたいですし、また、長野に帰って、しっかり頑張ってきたい」

　藤原の野球が浸透するまでには、まだ時間がかかるだろう。

　いわば、今回は「顔見せ」みたいなものだ。

　今後、どんな風を長野に吹かせるのか。

　次回の出場を待ちたい。

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