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ヤングなでしこ、U-20W杯で躍進中!
姉貴分に続いて旋風を起こせるか?
text by
矢内由美子Yumiko Yanai
photograph byToshiya Kondo
posted2012/08/27 12:35
スイス戦でグループリーグ突破を決めたヤングなでしこたち。ベスト8進出は2大会ぶりの3度目。決勝Tにはアメリカ(優勝2回)、ドイツ(優勝2回)、北朝鮮、ナイジェリアなどが強豪国として名を連ねる。
実力はあるのだが……若いチームならではの弱点も。
22日の第2戦は同じく宮城スタジアムで、ニュージーランドとの対戦となった。
この試合、日本は試合の入り方が悪く、早い時間帯で2点のビハインドを負うことになる。前半11分には日本の左サイドを崩され、最後は仲田のオウンゴール。15分にも左サイドを突破されて失点した。
実力的には日本が相手を上回っていると見られたが、若いチームゆえに、試合中の立て直しがきかない恐れもあった。
だが、ヤングなでしこたちは見事な切り替えを見せる。藤田がボールを散らしながら、ダブルボランチの一角である猶本が高いポジションを取り主導権を握っていくと、前半37分、この日トップ下で先発していた田中陽子が1点を返した。
田中陽子は、途中出場の西川明花(FC高梁吉備国際大)の右サイドからのパスを、一度は相手に奪われかけながら取り返し、体勢を整えながら右足でシュート。局面での強さの光るプレーで1点差に迫る。後半26分には田中陽子の左CKに高校生FW道上彩花(常盤木学園)が頭で合わせて2-2の同点に追いついた。
その後、日本は最後まで猛攻を仕掛けながらも勝ち越し点を決めることができなかった。しかし、2点差を追いついての勝ち点1は及第点と言って良いだろう。田中陽子は「得点は気持ちのゴール。思い切って振り抜きました。ただ、ニュージーランドは予想以上に強かったし、勢いにやられてしまいました。決めるべきところを決めていれば勝てた試合だったと、チームメートと試合後に話しました」と悔しさをにじませながらも前を向いた。
ヤングなでしこ達が初めて経験した、国立競技場という夢舞台。
26日の第3戦スイス戦は、国立競技場が舞台。
ここで試合をするのは初めてというヤングなでしこが多かったが、1万6914人という“大観衆”の中でも、選手たちは臆することなく自分たちのプレーを展開する。
引き分け以上でグループリーグ突破というこの試合、圧倒的な存在感を放ったのは、この日はボランチとして先発した田中陽子だった。なんと、左右両足から直接FKシュートを決めたのだ。
まずは前半30分、ゴール正面やや左の位置からのFK。ポイントには田中陽子と横山が立ち、吉田弘監督からは「横山が蹴れ」という指示が出た。だが、「声が聞こえなかった」(田中陽子)と、右足を振り抜くと、ボールは見事ゴール左上に吸い込まれていった。
観衆も相手も、そして「自分もびっくり」と振り返ったのは、後半2分の正面右寄りのFKチャンス。左足で直接狙ったシュートは、今度はゴール右上のネットを揺らした。左右両足でのプレースキックはなでしこジャパンの宮間あや(岡山湯郷)ばりの高等テクニックだった。