レイズで結果を残せなかったという厳しい現実。

　松井がレイズと契約しマイナーで調整している当初、このコラムで準備もできないままにメジャー昇格するのは危険だと論じた。

　結局、松井はチーム事情もあり、3Aで打率.170、本塁打ゼロの成績でメジャーに昇格していった。初戦に本塁打を放つなど華々しい活躍で、メディアはこぞって“復活劇”として報じたが、最後まで安定した打撃を披露することはなかった。

　途中、左太ももを負傷し、さらに故障選手の復帰もあり先発機会が激減。それでも昇格当初は指名打者、外野手として先発フル出場の機会が十分に与えられた。多少の準備不足はあったとはいえ、そこで結果を残せなかったのはあくまで松井自身の力が及ばなかったからでしかない。

　シーズン途中で契約し、負傷選手の穴埋めとしてメジャーに昇格した松井は、必然的に負傷選手が戻ってくる前に彼ら以上の活躍をしなければチームに残れない立場だった。

　だからこそ不振続きだった松井は、故障選手の復帰の度に“入れ替わり候補”に名を連ね続け、そして最終的には新たに補強してきた選手と入れ替わる形で戦力外通告された。

　それでもこの成績（打率.147、2本塁打、7打点）でなかったならば、新しいチームと契約することも可能だったはずである。

最後まで松井を評価し続けたレイズのマドン監督。

　レイズのジョー・マドン監督は、最後まで松井を評価し続けた。

　戦力外通告された後でも「まだ彼が終わったとは思えないし、まだまだやれると感じている。ただ打撃のメカニズムがずれているだけのように見える」との持論を述べている。

　しかし、当の松井はレイズのマイナー行きを自ら断り、自由契約となり、結果的にマドン監督の言葉を証明する機会を失ってしまった。

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