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松井秀喜のメジャー昇格は時期尚早!?
選手補強を続けるレイズの本音とは。
text by
菊地慶剛Yoshitaka Kikuchi
photograph byAFLO
posted2012/05/24 10:30
レイズ傘下となる3Aのダーラム・ブルズの試合でプレーしている松井秀喜。5月17日にはレッドソックス傘下の3Aポータケット戦で、調整中の松坂大輔と対決もしている。
レイズとマイナー契約を結んだ松井秀喜選手が、約1カ月半遅れでMLB10年目のシーズンをスタートさせた。
ワールドシリーズMVP(2009年)など輝かしい実績を誇るベテランとはいえ、シーズン開幕後、ようやく契約にこぎ着けた選手に用意された舞台はあくまでマイナー。メジャー出場の最低条件である40人枠にも入っていない。あの慣れ親しんだメジャーのフィールドに戻るには、自らの力で勝ち取るしかない、まさに“ゼロからのスタート”を強いられている。
マイナーとはいえ裏を返せば、レイズがシーズン途中に松井のようなベテランと契約したのは、十分に今シーズンのチームの戦力になると判断したからこそだろう。もうじき38歳を迎えようとする選手を、来シーズン以降を見越してマイナー契約するというのは考えられない。
そんな松井に関して、日本では早期メジャー昇格を予測する報道が度々なされているが、最近、一番古株の地元レイズ担当記者が自身のブログで、5月25日にもメジャーに合流するだろうとの見通しを明らかにした。
待望のメジャー昇格はすぐそこまで迫っているようだ。
マイナーで打率.133、0本塁打……メジャー昇格は時期尚早!?
だが、現在の松井は本当にメジャーで戦える準備ができているのだろうか。
5月15日に3Aのダーラムに合流して以降、5月22日現在で8試合にフル出場し、成績は打率.133、0本塁打、4打点。わずか8試合とはいえ、マイナーでの成績としては、決して良いとは言い難い。
本来ならキャンプで1カ月以上かけ、オープン戦での出場時間を延ばしながら準備をしていくもの。やはり短期間での急ピッチな調整には、難しい部分があるのだろう。
松井同様に、シーズン開幕前に契約できなかったベテラン選手の1人にジョニー・デーモン選手がいる。
彼もシーズンが始まった後の4月17日、インディアンズとマイナー契約を結び、すでにメジャー昇格を果たしているが、マイナーの公式戦に出場することなく昇格したせいか、ここまでの成績は打率.164、0本塁打、2打点と不振に喘いでいる。いくら実績あるベテランでも、ある程度の調整期間が必要なのは当然であろう。