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ザッケローニも注目の1トップ候補!?
“速いだけじゃない”永井謙佑の武器。
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byNaoki Ogura/JMPA
posted2012/08/01 10:30
モロッコ戦でゴールを決めた後の永井は、ピッチサイドの看板に駆け上がってガッツポーズ! スペイン戦で世界を驚かせた日本のスピードスターをチェックするため、モロッコ戦ではプレミアリーグから17チームものスカウトが詰めかけた。
「速さ」ばかりでなく「強さ」も目立った永井。
献身的に守備をこなし、ボール回しの狙いどころを絞ったら全速力で襲いかかって足元のテクニックに長けた相手からボールを奪ってしまう。バックパスに反応して奪ったところでイニーゴ・マルティネスに倒され、一発レッドで退場に追い込んでいる。結局はこの退場劇が勝負を大きく左右した。
特筆すべきはスピードの使い分けがうまいこと。メリハリをつけながら自分でコントロールしていた。チェイシングで行く、行かないの見定めがしっかりしているからこそ、スピードを持続して有効活用できていたと言える。
後半42分にもロメウにパスが入ってくるところを狙ってボールを奪い取り、シュートまで持ち込んでいる。無駄に体力を削がないことで最後までスペインにストレスを与え続けた。
また、「速さ」ばかりでなく「強さ」も目立った。
球際で相手と激しく体をぶつけて競り合い、オーバーエイジのハビ・マルティネスとも互角以上にファイトした。守備ではしつこくまとわりつき、攻撃では不利な体勢でも何とか体を入れ替えて保持しようとする。いらついたように相手から突き飛ばされるシーンも何度かあった。こんなふうに肉弾戦で強国のプレーヤーを精神的にカリカリさせてしまうだけでも効果はあった。
プレミアリーグの選手とも互角に張り合うフィジカルの強さ。
壮行試合でU-23ニュージーランド代表と対戦したときも、プレミアリーグのQPRに所属するOA枠の主将ライアン・ネルセンと激しくぶつかり合っている。強さには定評のあるネルセンに対してまったくひるまなかったことは印象深かった。
試合後、永井に水を向けると「(ネルセンは)強かったですよ。でもああいう球際のところで勝っていかないといけないし、そこは望むところでもあります」と自信ありげに返してきた。ネルセンをナーバスにさせ、ガツガツとやり合った経験は本大会でプラスに働いているのではないだろうか。