フットボール“新語録”BACK NUMBER
ウッチーはメンタルが人一倍強い?
乾とテセが語る“気持ち”の扱い方。
text by
木崎伸也Shinya Kizaki
photograph byAFLO
posted2012/07/31 10:31
チームメイトと並んで笑顔を見せる内田篤人。クラブのフォトセッションでのひとコマ。他の選手に好かれるのもメンタルが安定しているからだろうか。
ケルンに移籍のチョン・テセもスタメン定着は間近。
また、ケルンのチョン・テセも、先発に限りなく近づいている。
今年1月にドイツ2部のボーフムから1部のケルンに移籍したものの、直後にスポーツ・ディレクターのフィンケが解任されるという騒動に巻き込まれ、昨季の後半戦はほとんどチャンスが与えられず、チームも2部に落ちてしまった。だが今季、ドイツ代表のポドルスキら主力が大量に移籍したのを逆にチャンスととらえ、1トップの柱になろうとしている。
2部開幕の約10日前、ケルンのスタニスラフスキ監督は練習後にテセに声をかけ、芝生の上で1対1の面談を行なった。
熱血漢で知られるスタニスラフスキ監督は、身振り手振りを交えてこう伝えた。
「おまえはFWとして優れた能力を持っているし、ペナルティエリア付近でのクオリティはすごく高い。ただし、そんなに無理をして前を向かないで、もっとまわりを見た方が自分を生かせるはずだ。あんまりエゴイスティックになってシュートばかり考えず、もっとまわりを使え。最後のところで自分が触ればいいんだから」
アタッカーで重要なのは「試合に臨むときのメンタル」。
面談を終えると、テセはすがすがしい表情でミックスゾーンに現れた。
「監督から評価されているのは、ありがたいですね。もちろんプレッシャーはかかりますが、自分はスタメンで出るなら、1部でも、2部でも、3部でも、4部でも、責任を負わなきゃいけないと思っている。代表でも、学生でも同じ。当然の重圧です」
ケルンの1トップのポジションには、スウェーデン人のイシャク、ドイツ人のブレッカーというライバルがいるが、現時点ではテセがリードしている。
ただし、1部でも、2部でも、数字がともなわなければ、すぐに代えられてしまうのがアタッカーの宿命だ。継続して得点やアシストを記録し続けるには、何が必要になってくるだろう?
偶然にも、乾とテセの2人はまったく同じことを課題にあげた。それは「試合に臨むときのメンタル」だ。
乾は言う。
「1試合、1試合、本当に集中しないといけない。セレッソのときからその重要さを感じていましたけど、特にボーフムに移籍してから、勝てない時期もあったので余計に感じました。よく試合前のメンタルは無の状態がいいって言いますけど、まだ自分はどうやって無になればいいのかわからない。いろいろと考えてしまうんですよね」