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オリックスで孤軍奮闘のイ・デホは、
本物の“アジアの大砲”になれるか? 

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氏原英明

氏原英明Hideaki Ujihara

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photograph byNanae Suzuki

posted2012/06/04 12:40

オリックスで孤軍奮闘のイ・デホは、本物の“アジアの大砲”になれるか?<Number Web> photograph by Nanae Suzuki

韓国ではボール球の範囲までヒッティングゾーンを意図的に広くして積極的に打っていたというイ・デホ。日本でも最近ようやくストライクゾーンにこだわらない覚悟ができ、それから好調になったという。

開幕直後、極度の打撃不振で鈍足ばかりが目立っていた。

 4月21日の日ハム戦で武田勝から来日初本塁打。開幕してから1カ月弱のことだが、それでも、調子が上がらない。目立ってしまうのは二塁打コースのヒットをシングルヒットにしてしまう鈍足ぶりばかりで、主力の故障離脱と重なりあって、チームとともにどん底状態に陥っていた。

 それが、5月6日、日ハム戦で防御率0点台の吉川光夫から第3号本塁打を放ったあたりから上昇の兆しを見せる。同月11、13日の楽天戦で1本塁打ずつ。交流戦が開幕すると、5月19日のヤクルト戦で9回表に、一時は逆転となる2点本塁打。そこから3試合連続でアーチをかけた。27、28日のDeNA戦でも2試合連続本塁打を放ち、気がつけば、パ・リーグの本塁打王争いのトップに躍り出ていた。

 5月だけで8本塁打。さらに、本塁打とともに打率も上昇。初本塁打のころは.210程度だった打率は10本塁打の時点で、.264へ。そこから、さらに調子を上げ、6月3日時点で.293と3割も目前に迫るほどになった。

イ・デホの魅力は単なるパワーヒッターではないところ。

 3試合連続本塁打を放った5月22日の阪神戦のあと、本領を発揮し始めたイ・デホの様子を岡田監督はこう評価した。

「開幕してからストライクゾーンに対して悩んでいて、ナーバスになっていた。今はストライクゾーンにも、相手の攻め方にも慣れてきている。開幕時に比べても、考えたバッティングができている。ストレートだけじゃなくて、いろんなボールを打てているのが、対応できている何よりの証拠やと思う」

 指揮官の言葉にあるように、イ・デホの持ち味は単なるパワーヒッターではないところだ。インコースを引っ張りこむときがあるとはいえ、基本はセンターを軸に、右中間から左中間の45度空間にヒット&ホームランゾーンがある。ストレートに偏ることなく、変化球でも同じように打ち返せる技術を持つ。

 イ・デホも、手ごたえを感じている。

「5月25日の広島戦でサヨナラ安打を打ちましたけど、打点を取れているのが一番うれしい。打点を取って、チームが勝つ。最高の気分ですね。今、バッティングがいいのは、練習と試合とがかみ合ってきているからだと思う。開幕のころは、打席で心配ばかりしていたのでね。何を投げてくるのか、どう攻めてくるのか、それをどう打てばいいのか……。今は、積極的に打席にむかえているから、力を発揮できている」

<次ページへ続く>

【次ページ】 「イの後を誰が打つかが鍵になってくる」(岡田)

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