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【ユーロ2012 グループA展望】
ギリシャとチェコには“メッシ”がいる!?
成長著しいロシアが総合力で最有力。
text by
細江克弥Katsuya Hosoe
photograph byGetty Images
posted2012/05/31 10:30
“チェコのメッシ”ことバツラフ・ピラー(チェコ代表MF)は小柄なドリブラー。レンタル移籍先のピルゼンでは、昨冬に欧州CLでバルセロナとあたり、憧れのメッシとも対戦した。
「生まれ変わったギリシャ」を実証できるか?
ギリシャのスタイルは、代名詞でもある堅守速攻。
シャルケで頭角を現しているK・パパドプーロスを中心に、伝統の堅守は新世代にも受け継がれている。
もっとも、現在のチームはかつてのような“守備偏重型”ではなく、中盤で繰り広げるパスワークやそこから生まれるサイド攻撃も多彩。「ギリシャのメッシ」と称されるフェトファツィディスや数々の最年少記録を持つニニスなど、今後の成長が楽しみなテクニシャンも台頭してきた。
今大会は、司令塔カラグーニスが口にする「生まれ変わったギリシャ」の力を世界に示す大きなチャンスだ。大声援の後押しを受けるポーランドとの開幕戦を制することができれば、目標とする準々決勝進出が一気に現実味を帯びてくるだろう。
南アW杯予選敗退の汚名をそそいだロシアが1位通過か?
ただし、近年における実績と戦力を単純比較すれば、ロシアはポーランドやギリシャを上回る1位通過の筆頭候補である。
予選で喫した黒星はわずか「1」。「4」に抑えた失点の少なさはイタリアに次ぐ2位の成績である。
チームにはアルシャビンやジルコフ、ケルジャコフやパブリュチェンコといったユーロ2008のベスト4メンバーが多く残っており、さらにザゴエフら気鋭の若手も台頭。エースのアルシャビンはベテランと若手が融合する現在のチームを「4年前よりも充実している」と評し、確かな手応えをつかんでいる。
'10年南アフリカW杯の予選敗退はロシアにとって大きな試練だったが、'07-'08シーズンにゼニトを率いてUEFAカップ(現ヨーロッパ・リーグ)を制したアドフォカート監督の就任を機に、チームは見事に再建された。
国内事情を知り尽くす指揮官は、ゼニトとCSKAモスクワの選手を中心にチームを構成。守備の中核を担ってきたV・ベレズツキやシシュキンの離脱は大きな誤算だが、35歳のベテランDFシャロノフ、さらにチャンピオンズリーグで活躍した25歳の右SBナバブキンを招集し、その穴を埋めた。グループBの勝者と対戦する準々決勝を見据えて、まずは危なげなくグループステージを突破したいところだ。