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【ユーロ2012 グループB展望】
オランダ、ドイツにも弱点が……。
“死のグループ”で何かが起こる?
text by
細江克弥Katsuya Hosoe
photograph byVI Images via Getty Images
posted2012/06/01 10:30
左からスナイデル、ファンマルバイク監督、ファンデルファールト。5月30日に開催された親善試合のスロバキア戦は2-0で勝利したオランダだが、スナイデルは試合途中に負傷交代している。
オランダを“死のグループ”に誘い込んだ張本人は、奇しくも母国の英雄ファンバステンだった。
キエフで行なわれた組み合わせ抽選会でプレゼンターを務めた前回大会の指揮官は、ポット1で母国オランダを、ポット4でドイツを引き当て、すでにポルトガルとデンマークが加わっていたグループBを完成させた。その顔ぶれを見て本人が苦笑いを浮かべる中、キエフの抽選会場は低い歓声でどよめいた。
南アフリカW杯で惜しくも栄冠を逃したオランダでは、ファンバステンがカップを掲げたユーロ1988以来、24年ぶりとなる栄冠への期待がピークに達している。
南アフリカW杯決勝の舞台に立ったスタートメンバーの11選手のうち、今大会の最終メンバーから外れたのは、現役を退いたファンブロンクホルストのみ。MFファンボメルが「W杯決勝でスペインに負けた後、ロッカールームですぐに頭を切り替えた」と語るように、リベンジへの意気込みは非常に強い。
南アW杯の雪辱を期すオランダが内包する不安要素とは?
だが、開幕を目前に控えていくつかの不安要素が浮上している。
チャンピオンズリーグ決勝でPKを失敗したロッベンのメンタルコントロールは容易ではなく、司令塔スナイデルは今季終盤にコンディションを取り戻したばかり。
ピーテルスの故障離脱によって空いた左SBの穴には、18歳のビレムス、さらに代表経験の浅いスハールスを招集するなど対応に苦しんだ。代表の試合から4年間も遠ざかっているDFバウマを最終メンバーに入れたことも、危機感の表れと言えるだろう。
今大会予選では、10試合で37得点と圧巻の破壊力を示した。
その破壊力を維持するためにはロッベンとスナイデルが万全の状態でピッチに立つこと、さらに守備陣の安定が不可欠である。
デンマークとの初戦で“波乱”を起こさないことが、チームの状態を上向かせるために不可欠な要素となるだろう。