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【ユーロ2012 グループA展望】
ギリシャとチェコには“メッシ”がいる!?
成長著しいロシアが総合力で最有力。
text by
細江克弥Katsuya Hosoe
photograph byGetty Images
posted2012/05/31 10:30
“チェコのメッシ”ことバツラフ・ピラー(チェコ代表MF)は小柄なドリブラー。レンタル移籍先のピルゼンでは、昨冬に欧州CLでバルセロナとあたり、憧れのメッシとも対戦した。
グループBが“死のグループ”なら、優勝候補が存在しないグループAはその対極に位置する楽なグループと言えるだろう。
しかし、有望な若手がひしめく開催国のポーランドを筆頭に、ユーロ2004の覇者であるギリシャ、ユーロ2008で4強進出を果たした大国ロシア、さらにユーロ1996から5大会連続の本大会出場となるチェコと、居並ぶ4カ国は“曲者”ばかり。決勝トーナメント進出の2枠を争う6試合は、いずれも予想の難しい拮抗した展開となりそうだ。
“ドルトムント・トリオ”に期待がかかる開催国ポーランド代表。
開催国のポーランドは、地の利を活かしてこの戦いを有利に進められるはずだ。
FWレバンドフスキ、MFブラシュチコフスキ、DFピシュチェクの“ドルトムント・トリオ”を始め、U-21ドイツ代表経験のあるMFポランスキ、アーセナルの守護神シュチェスニとタレントは充実。予選を免除されたことによる調整不足を懸念する声もあるが、キャプテンのブラシュチコフスキは「落ち着いてチームを作ることができた」とこれを否定する。
前回大会では1勝も挙げることなくグループステージで敗退したが、スムダ監督の就任以降は積極的に世代交代を推し進め、着実な強化を図ってきた。2011年の戦績は14戦でわずか2敗と好調を維持しており、さらに昨年9月に行われたドイツとの親善試合をドローで終えたことで自信を深めている。“恵まれたグループ”を勝ち抜き、まずはグループステージ突破のノルマを果たしたいところだ。
揺れる国状をよそに初のベスト8入りを狙うギリシャ。
ポルトガル人のサントス監督が率いるギリシャにとって、ポーランドとの開幕戦はチームの行方を左右する大一番となりそうだ。
ギリシャはユーロ2004で“奇跡の欧州制覇”を成し遂げて以来、国際舞台では特筆すべき結果を残していない。しかし、ユーロ2008や南アフリカW杯でも本大会出場を果たしており、中堅国にしてその安定感は群を抜いている。今大会予選では強豪クロアチアを退け、無敗で本大会出場権を獲得。サントス監督はピッチに送り込んだ32人のうち9人に代表デビューのチャンスを与えるなど、着実な世代交代にも着手してきた。