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イチローの“無事、これ名馬”。
真に驚くべきはその試合出場数だ! 

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菊地慶剛

菊地慶剛Yoshitaka Kikuchi

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photograph byNaoya Sanuki

posted2010/05/04 08:00

イチローの“無事、これ名馬”。真に驚くべきはその試合出場数だ!<Number Web> photograph by Naoya Sanuki

イチローはメジャー10年目になるが、意外にも首位打者を獲得したのは'01年と'04年の2回だけ。今季は6年ぶりのタイトル奪回なるか

200本安打には平均158試合が必要。故障は許されない。

 では、年間200安打を達成するにはどの程度の試合数が必要なのだろうか。

 過去9年間の200本安打達成者とその出場試合数の目立つところを調べてみた。するとイチローを含めのべ52選手が200本以上を打ち、彼らの平均試合出場数は158.0試合だった。150試合未満での達成は、昨年のイチロー(146試合)と2007年のポランコ(142試合、当時タイガース所属)の2例のみ。あとは最低でも153試合に出場している。

 つまりシーズン中に負傷をして15日間の故障者リストに入ってしまった時点で150試合出場を確保することがかなり難しくなり、さらに負傷が長引いてしまえば200本安打達成はほぼ不可能になってしまうわけだ。

ギリギリのところで成立しているイチローの“当たり前”。

 例えば、過去3度200本安打を達成しているテハダ(オリオールズ)は、1999年以降毎年158試合以上出場しているが、死球で左手首を骨折した2007年だけは133試合に留まっている。また、最近までイチローのライバルといわれ、5年連続200安打を達成していたヤング(レンジャース)も、2002年以降155試合以上出場していたが、昨年は腰痛や右足首捻挫で135試合しか出場できていない。

 2人のような素晴らしい打者でさえ150試合出場したからといって200安打できるわけではないし、また偶発事故で200安打に挑戦する権利すらあっさりと奪われてしまっているのだ。

 こうしてみると、連続200本安打がいかに薄氷の上で成立している記録なのかということを痛感させられる。そしてその記録を我々に“当たり前”と感じさせるイチローの凄さは、想像を絶するものだということが分かる。

 改めて、冒頭のイチローの言葉が自分の中で重みを増している。

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