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イチローの“無事、これ名馬”。
真に驚くべきはその試合出場数だ! 

text by

菊地慶剛

菊地慶剛Yoshitaka Kikuchi

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photograph byNaoya Sanuki

posted2010/05/04 08:00

イチローの“無事、これ名馬”。真に驚くべきはその試合出場数だ!<Number Web> photograph by Naoya Sanuki

イチローはメジャー10年目になるが、意外にも首位打者を獲得したのは'01年と'04年の2回だけ。今季は6年ぶりのタイトル奪回なるか

 阪神・金本知憲選手の連続試合フルイニング出場記録が途絶えたという海の向こうからの一報を聞いた時のことだった。

 イチロー選手のある言葉が、脳裏をよぎった。

「去年が特別だっただけで、これが当たり前。でもそれを当たり前にやるのが大事。いまさらですが」

 昨年、胃潰瘍を起こし開幕から故障者リストに入っていたイチローが、今季オープン戦で最終戦を終え、2010年シーズン開幕について聞かれたおりに答えた言葉。彼らしい深いメッセージだなと思いながらも、そのまま自分の記憶の底にしまいこんでいた。

 金本にとって連続フル出場を続けることは“当たり前”だったし、それを見守る人々にとっても同様のことだったのだろう。その当たり前のことができなくなったと感じたからこそ、金本は自らの意志で先発から外れた。周りの人たちにとっても当然だったことが唐突に否定されたのだから、その衝撃は相当なものだったはずだ。

イチローの凄さは驚異的な試合出場数にあり。

 現在のイチローと、彼を見守る人々にも“当たり前”が存在する。

 自分もある意味その1人なのだが、よほどのことがない限り前人未到の10年連続200安打を達成してくれるものと、当然のこととして考えてしまっている。記録達成について期待と不安のどちらが強いかと聞かれれば、ほぼ全員が期待と答えるだろう。

 メジャーの取材を長年続けていると、他の日本人メジャー選手たちと彼についての話をすることが度々ある。彼らから聞こえてくる感想は、ほぼ1つといっていい。

「ずっと200本打ち続けるのももちろん凄いことなんですけど、それを達成するにはずっと試合に出続けないといけない。あれだけ長く故障もせずに試合に出続けるのは本当に凄いですよ」

 特定の選手の言葉ではない。彼らの多くの言葉を集約していくと、同じ内容になるのだ。金本のように連続出場しているわけではないが、確かに胃潰瘍以外に故障もせず試合に出続けているイチローの鉄人ぶりは驚嘆に値する。

 昨年までのメジャー9年間でイチローの平均出場数は158.4試合なのだが、他の日本人メジャー選手と比較してみてほしい。

田口壮    84.0試合(8シーズン)
松井秀喜   130.9試合(7シーズン)
松井稼頭央 100.5試合(6シーズン)
井口資仁   123.3試合(4シーズン)
城島健司   115.5試合(4シーズン)
岩村明憲   114.7試合(3シーズン)
新庄剛志   101.0試合(3シーズン)
福留孝介   148.0試合(2シーズン)

 今季メジャー3年目の福留が唯一150試合に近いだけで、故障やチーム事情など様々な理由によって、他の選手とはこれほどの差がついている。

【次ページ】 200本安打には平均158試合が必要。故障は許されない。

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