日本代表、2014年ブラジルへBACK NUMBER
今野泰幸はガンバを立て直し、
中澤、闘莉王を越えるCBになれるか?
text by
二宮寿朗Toshio Ninomiya
photograph byTakuya Sugiyama
posted2012/03/28 10:31
ガンバの今季に入ってからの5試合の失点は、試合順に3、3、2、2、2と続く。日本代表CBの不動の地位を守るためにも、今こそ今野の奮起が期待される。
“ザックジャパン不動のセンターバック”今野泰幸に試練が訪れている。
8シーズン在籍した愛着のあるFC東京を離れて今季からガンバ大阪へ移籍したが、25日のジュビロ磐田戦にも敗れて開幕から3連敗。ACLのグループリーグを含めると公式戦5連敗となり、いまだ1勝も挙げることができていないという非常事態に陥っている。
ブラジル人指揮官セホーンの迷走ぶりが、チームに混乱を招いたことは間違いない。フォーメーションや選手の配置を固定できず、どう戦うかのビジョンすら見えてこなかった。パスを回すだけの消極的な戦いが守備に影響を及ぼし、5試合で失点は12。1試合平均2.4失点という崩壊ぶりである。前線からの連動した守備ができず、全体が間延びしてしまうことでスペースを使われてピンチになるシーンが目立っている。その指揮官は26日に解任され、松波正信コーチが監督に昇格した。
ディフェンスリーダーである今野にも責任は当然ある。しかしながら、ボールを奪って守から攻へ素早く切り替えられる今野の特徴をチームとしてうまく活かせていない印象で、「攻」においても彼のパス能力が発揮されていない。
彼自身、新しいチャレンジに苦難はつきものだと理解している。この試練を肯定的に受け止め、苦悩しながらも真っ向から挑もうとしている姿が見えてくる。
「一段階も二段階も」上がるためにガンバへと移籍。
「チャレンジすることでいいふうに変わるかもしれないし、もしかしたら悪い方向にいくかもしれない。でもたとえ悪い方向に行ったとしてもそこは直せばいいだけの話で、とりあえずやってみることが大事だと思う。ガンバへの移籍もチャレンジの一環。ガンバに来て自分がどう変わっていけるのか。そこは凄く楽しみな部分でもあるんですよ」
シーズン開幕前、今野はこのように意気込んでいた。
昨年、FC東京でキャプテンを務め、リーダーシップを発揮してJ1昇格に大きく貢献。天皇杯を制してACL出場権も獲得したことで、FC東京でプレーを続ける選択肢もあったはずだった。だがそれでも彼は毎年、優勝争いに加わっているガンバへの移籍を決断した。「一段階も二段階も上がっていかなきゃいけないため」であった。
強いプレッシャーにさらされ、いかなる状況に置かれても自分の能力を十分に発揮してチームを勝利に導く――。それが今野泰幸の、2012年におけるテーマのひとつであるように感じてならない。